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大谷選手の活躍によって「二刀流」の選手が増えるかもしれない

 誰かが40歳になっても、45歳になってもショートを守るということを実現すれば、それがひとつの指標となり、そこからは「40代ショート」もあたりまえに誕生するだろう。そんなことを考えていたのだ。

 競技は違うけれども、例えば陸上競技において、誰かひとりが新記録を樹立すると、それ以降立て続けに数名がそれに近い数字を記録することがある。

 ひょっとしたら、人間は無意識に限界を決めてしまっているのではないだろうか? でも、なにかの拍子にその限界が取り払われたときに、人はさらなる第一歩を踏み出せるのではないのだろうか?

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 現役最終年となった2021年シーズン。40歳を迎えるこの年の開幕戦で、「7番・ショート」としてスタメン出場を果たした。39歳9カ月での開幕スタメンは、遊撃手としては史上最高齢の記録となった。

 他人から見れば、それは些細なことかもしれない。けれども、若いときからそれをずっと目標としてきただけに、その達成感はとても大きなものだった。

©文藝春秋

 大谷選手の活躍によって、「両方やってもいいんだ」と考える子どもたちも増えたはずだ。これからは、「二刀流」の選手が増えてくるかもしれない。

 同様に、「40歳でもショートはできるんだ」と考える選手も出てくるだろう。現にジャイアンツの正遊撃手である坂本勇人選手は、30代を迎えてもなおチームの中心として、内野の要としてショートの重責を見事に果たしている。

 自ら限界をつくらない――。

 この思いを持つ者だけが、人とは違う景色を見ることができるのだろう。「前例がないから」「誰もやっていないから」という理由で、自らに制約を設けることはもったいないし、なにも意味はない。

 自分で自分の限界を決めてはいけない。

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