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〈音声入手〉「国交省の人間をまた推薦させて頂きたい」 別法人でも国交省有力OBが“天下り要求” 前理事長は「もうたくさん」

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 国土交通省の元事務次官らが民間企業「空港施設」(東京都大田区)の役員人事に介入していた問題に続き、国交省の有力OBが、一般財団法人「土地情報センター」(東京都千代田区)の理事長(当時)に対しても、同省出身者を常務理事に据えるよう繰り返し要求していたことが、「週刊文春」が入手した音声データでわかった。国交省は空港施設のケースでは組織としての関与を否定していたが、別法人においても天下りを要求する音声データの存在が発覚し、国交省が有力OBを介する形で、天下りを常態化させている疑いが浮上した。

「空港施設」を巡っては、国交省の元事務次官で東京メトロ会長の本田勝氏が、同省の元東京航空局長で副社長の山口勝弘氏を社長に据えるよう要求していた問題が発覚。さらに「週刊文春」4月6日発売号では、その山口氏が取締役時代、役員が集まる会議で、国交省の意向をちらつかせながら自身を副社長に自薦する発言を重ねていた問題を報じた(音声データを「週刊文春 電子版」で公開中)。その後、山口氏は副社長を辞任。空港施設は第三者による検証委員会を設置し、経緯の調査を進めている。

空港施設株式会社に続き、国交省OBの関与が ©時事通信社

 今回新たに天下り問題が明らかになったのは、一般財団法人「土地情報センター」。1986年、旧国土庁(現国土交通省)所管の公益法人として設立され、2011年からは民間色の強い一般財団法人に移行している。現在の理事長は、国交省元政策統括官の北本政行氏(1983年、旧国土庁入庁)だ。

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「土地情報センターの理事長には代々、国交省OBが就いてきました。前理事長の馬場健氏も元本州四国連絡橋公団監理官です。ただ、国からの事業が減る中で、馬場氏は自らの退任前に運営の健全化を図ろうとしていた。特に報酬年1800万円とされる常務理事ポストを無くそうとしていました。このポストも代々、国交省OBが天下りしています」(同センターの職員)

「週刊文春」は、馬場理事長(当時)と、元国交審議官の三澤眞氏が2021年1月25日に電話でやり取りした際の音声データを入手した。

「三澤氏は1970年に旧建設省入省。人事課長を経験し、ナンバー2の国交審議官まで務めた有力OBです。馬場氏より1年先輩にあたります」(国交省関係者)