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〈音声入手〉「国交省の人間をまた推薦させて頂きたい」 別法人でも国交省有力OBが“天下り要求” 前理事長は「もうたくさん」

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空きポストに国交省OBを推薦するやりとり

 音声データには、次のように記録されている。

三澤「藤原さんから伺ったんだけれども、今年の夏、理事長交代をされるって。そういう方向ですよね?」

馬場「いま検討中ですね」

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「藤原さん」とは、元国土事務次官の藤原良一氏。1960年に旧建設省に入省し、現在も同省出身者に大きな影響力を持つ人物だ。土地情報センターの評議員も務めている。

 さらに音声はこう続く。

三澤「そいでね、理事長交代して、仮に北本君が上がるということになった場合、その後任として国交省の人間をまた推薦させて頂きたいんですけど」

公明党の斉藤鉄夫国交相 ©時事通信社

馬場氏は運営の健全化のため受け入れを拒否

「北本君」は、現理事長の北本氏。当時はセンターの常務理事だった。三澤氏は、北本氏の理事長昇格に伴って空くことになる常務理事ポストに国交省OBを据えようとしていたのだ。ただ、これに対し、馬場氏は一般財団法人として民間企業との取引も増えるなか、運営の健全化を図るべく、天下りの受け入れを拒否する。

馬場「いや、それはできないですよ」

三澤「いやいやいや、だからどうして?」

馬場「だって、ウチ関係ないですもの、国と」

三澤「だって今まで、理事長と常務っていたわけでしょ?」

馬場「今までとだからもう全然違うんですよ、10年前と今とじゃ」

三澤「今まで、10年前じゃなくて、今現在も理事長と常務がいる」

馬場「刻々と変化してきて、全然もう関係ないですよ、国は」

 こうしたやり取りの末、最終的に国交省OBの指定席とされてきた常務理事ポストは空席のまま、2021年6月、馬場氏は退任し、新理事長に北本氏が就任した。

 馬場氏に尋ねると、次のように回答した。

「音声は本物ですね。これまでにも国交省OBの常務を迎え入れてきましたが、決算書も作れないし、一生懸命に働いている職員のモチベーションにもかかわる。国交省人事課の要請でOBたちを(センターの)顧問にもして、10年余りで計5000万円以上支払ってきた。もうたくさんですよ」