「くらし安心♪ クラシアン～」
メロディーが印象的なCMでおなじみの、水回りの緊急修理などを行う会社「クラシアン」。いま、このなじみの深い企業内で、セクハラ行為が訴訟沙汰に発展しているのだ。
＃1で、訴えを起こしている「セクハラ被害」を明かしたのは同社元社員のA子さん（30代）。A子さんは昨年12月、酒席で上司からキスされたという。
「その後、会社に報告したものの、私への聞き取りがされないまま、コンプライアンス委員会でセクハラ行為は『事実ではない』とされました。セクハラ被害に加え、その後の会社の対応に絶望しました」
A子さんはその後心身のバランスを崩し、退社している。
A子さんと同時期にセクハラ被害に遭っていたというのが、同じく同社元社員のB子さん（30代）だ。B子さんも上司からのパワハラ・セクハラ行為に加え、会社の対応に強い不信感を感じ同社を退社。2人は入社年次が近く同期のような関係で、B子さんが偶然、A子さんがセクハラ被害に遭っていたことを人づてに知り、ともに3月30日付で横浜地裁に提訴した。
訴状によると、男性上司に対してはセクハラをした民法の不法行為、クラシアンへはセクハラに対する十分な調査や防止対策を行わなかった職場環境配慮義務違反として、A子さんとB子さんに対し計約860万円を支払うよう求めている。
B子さんが訴えるセクハラ被害の実態とは――。
◆
セクハラ前に“ある事情”から部署異動
B子さんは2021年に中途でクラシアンに入社した。ほどなくしてIPOを目指すプロジェクトの事務局メンバーになったが、“ある事情”から部署を異動することになる。
「書類のチェックが必要で、担当である別の部署の上役Y氏に依頼をしたんです。すると、他の社員もいる前で『私のジョブミッションではない』『あなた達のせいで退職しますよ』などと、なぜか怒鳴りつけられたことがあったんです。
業務に差し障りが出るので上司に相談したところ、Y氏が私に関して『リスペクトや配慮が足りない』と言っていると言われて……。しかも『態度や性格が悪いのがチャットなどにあらわれている』とまで言われました。
私は自分の態度がそんなに悪かっただろうかと不安になり、他の上司に過去のチャットを見せてアドバイスを仰いだのですが、その方からは『特に問題ない』と指摘されました。それでなにをどう改善すればいいのか、わからなくなってしまいました」
その後B子さんは体調を崩し、医師からも3カ月程度の休養が必要だと診断されたが、上司から「医師の診断が必ずしも正しいわけではない」「ここで折れたら戻ってこれなくなるから耐えたほうがいい」などと言われたため、業務を継続した。
「ですが体調は悪くなる一方でしたので、退職を申し出たんです。ですが上司から強く慰留され、別の部署への異動も打診されました。それなら……とクラシアンに残ることを決めました」
ほどなくして、2022年11月にB子さんは別の部署へ異動。ここでは安心して仕事に邁進できるだろうと思っていた矢先、最初のセクハラ被害を受けたのだという。
