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 辛汁は本鰹節を中心に使い雑味などは皆無である。返しは程よく色合いも綺麗である。そばを少しつけて食べる。洗練された味とはこういうそばのことをいうのだろう。あっという間にそばを食べてしまった。

二八そばを使った「もりそば」
辛汁も綺麗でそばも冷たくコシがあってうまい
「花巻そば」の改良したのが「あおさ海苔と小ねぎのそば」

「花巻そば」の進化系

 小澤店主がどうしても食べて欲しいそばがあるという。それは「花巻そば」の進化系だとか。一般的な「花巻そば」は黒い海苔がのるだけで風情もないので、工夫をしてみたという。そして完成したのが「あおさ海苔と小ねぎのそば」である。どんぶりの下半分があおさ海苔、上半分が小ねぎ、そしてその間に白ごまを敷き詰めている。「わさびを溶き入れて少しずつ崩して食べてください。食べ終わったら最後にごはんを入れてお茶漬けにしてもうまいです」と小澤店主はいう。

 まず、つゆをひとくち。鯖節を中心とした出汁でつゆはふくよかな甘みが心地よい。そしてあおさ海苔の香りがつゆとそばに染みわたる。少しずつあおさ海苔を崩していき、白ごまと小ねぎを併せて食べ進む。「花巻そば」に食べ進む喜びが加わったようなストーリーが感じられる出来栄えだ。

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この色の取り合わせが最高だ

上中里「浅野屋」に感じた「潔さ」

 ここまできて、はっと気が付いた。確かにミシュランの星をとるような華やかなメニューが並ぶ店でもないし老舗店とも一線を画している。