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 つまみのメニューも一手間工夫がされているものが多く、決して華美ではなく季節ものを大切にしていた。地元の方がちょっと一杯で楽しめるラインナップでもあった。飲んだあとにちょっと食べたいひとのために「〆の小もりそば」という気の利いたメニューもあった。

 そして暖簾会系の「浅野屋」然ともしていない。独自の路線を歩んでいるように思う。そばは「花巻そば」をアレンジするなど、昔の味を進化させていた。他にも気がついたことがあった。暖簾会系の店ではうどんやラーメンまで置いている店もあるが、上中里「浅野屋」にはそばしかない潔さがあった。

麺類はそばだけ、しかも手打ち
「〆の小もりそば」という気の利いたメニューも

「吟味と深化」は、ひとつの活路

 上中里「浅野屋」の味を堪能した。訪問前まで、私は「町そば」は「町中華」のように多岐にわたるメニューを揃えて、大勢のお客さんに応えることが理想なのかと考えていた。しかし、上中里「浅野屋」のように、品揃えを吟味して、より深化させる方向に進むのも「町そば」の1つの生き抜く道だということも分かってきた。もちろん、店の来客数や立地条件というのもあると思う。

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お酒は安くて希少なものも揃えている

 店には普段使いの人も、飲みに来る人も、仕事仲間の人も集って、だれもが落ち着いた雰囲気で味を楽しんでいた。「上中里は小さな町で、店は地味な佇まいだけど、そばだけはうまいといわれる店にしていきたい。暖簾会の味を守りつつ新しいメニューにも少しずつチャレンジしていきたい」と小澤店主はいう。よい店に出会うことができた。

 ゴールデンウィーク明けには「鴨と千住葱の冷しそば」が始まるそうだ。また訪問しようと思う。

ゴールデンウィーク明けには「鴨と千住葱の冷しそば」が始まる
上中里は良いところだ

INFORMATION

浅野屋
住所:東京都北区上中里2-31-9
営業時間:火~金 11:30~14:00、17:30~21:30
     土日祝 11:30~14:00、17:00~21:00
定休日:月