東急東横線と大井町線が交差する自由が丘駅。その駅前周辺で大規模市街地再開発事業が始まっている。その影響で老舗の「自由が丘藪伊豆」は2022年9月26日から休業中。「二八庵さらしん」は2023年2月14日から奥沢5丁目での仮店舗営業を余儀なくされている。そしてこちらも人気店だった「山久」は2022年末で閉店。つまり、自由が丘では人気そば屋がなくなる現象が起きている。
いざ、自由が丘の「石臼挽き蕎麦とよじ」へ
そんな中、天ぷら老舗の「銀座天一自由が丘店」やうなぎ串の「ほさかや」など飲食店が多く立ち並ぶ繁華街、自由が丘東地区に新しいそば屋「石臼挽き蕎麦とよじ」が2023年3月9日にオープンした。
東京の最高気温がはやくも20度を超えた3月半ば、さっそく訪問してみることにした。ロータリー側駅改札を出て右手のガード下をくぐりそのまま進むと店はすぐに見つかった。改札から1分もかからない。グレーと黒を基調にしたシックな外観に、若草色の暖簾が春風にゆれていた。店内は明るくそして落ち着いた雰囲気。木製カウンターが美しい。6席のゆったりとした空間である。
まずは「鴨せいろ」を注文!
入店すると店主の日高めぐみさんがにこやかに迎えてくれた。一番奥の席に座る。一品料理のメニューをみると、「赤天」(600円)がおすすめだというので、「ハートランド」(700円)と一緒に注文した。そして「鴨せいろ」(1600円)の注文を入れて、出店の経緯などを訊いてみることにした。
日高めぐみさんのお父さんは島根県出身で、かつては大衆そば屋を経営していた。めぐみさんは若い頃から店を手伝い、そば屋のノウハウを身に付けていった。そして独立して2017年5月から2022年2月まで京急蒲田駅前で「とよじ」を経営。玄そばを仕入れ、店頭で石臼挽きして二八そばを押出式で提供する大衆そば店だった。近くに住んでいた麺の達人が「美味しい店だ」と教えてくれて、私も一度食べたことがある。