開幕から1か月ちょっと。今季も約6分の1を消化し、我らがファイターズは現在最下位(5/3時点)……。さらに東京のファイターズファンとして成績以上に寂しいのは、今季ホームゲームは全試合エスコンフィールドHOKKAIDOで行われ、東京ドーム開催が一切無い事だ。

 僕がナレーションを担当する情報番組でもエスコンを紹介する企画があり、ディレクター陣から土産話を聞いていると無性に行きたくなってきた。僕の信念は「少しでも時間があればライブ観戦」。東京ドームで見られない今季は、エスコンを出来る限り味わおうと決心した。

 日程と僕の収録スケジュールとを照らし合わせ、終日オフだった4/26水曜夜のバファローズ戦に狙いを定めた。どうせ行くなら朝イチからエスコンを満喫したい。試合前のスタジアムツアー、球場内にあるタワーイレブン温泉のチケットも手配。しかし、作戦決行の2日前にナレーション案件が飛び込んできた。しかも夜間帯。残念ながら試合観戦は不可能だ。ライブ観戦をポリシーとしてきた一方で、僕はナレーターになってから25年、ナレーションのオファーが来たら喜んで受ける姿勢を貫いてきた。数時間程度の微調整なら応じてくれるかも知れないが「野球観るんでお断りしまーす!」なんて絶対にダメだ。

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 仕事のオファーを快諾し、気持ちをポジティブに切り替え、プランを可能な限り組み直す。バファローズ戦観戦チケットをリセールに出し、妊娠後期の妻からも許しを貰い、4/30日曜のホークス戦観戦チケットをリセールでゲットした。フライトもマイルを使ってチケット確保。26日はスタジアムツアー&温泉、30日は試合観戦の“前後半”に分ける形でリスケを完了した。

魅力あふれる近未来型劇空間

 4/26水曜。早朝便で新千歳へ。この日の新千歳空港上空は雨風非常に強く、巨大な機体は木の葉のように揺れながらなんとか着陸。久々に肝を冷やした。

 新千歳空港から快速エアポートで20分、北広島に到着。札幌の手前で途中下車したのは初めて。駅前はホテルなどが入るビルが建設中……まだ閑散としていて、ファイターズの匂いがあまりしない街並みで、まさにこれからといった所。当初歩いて行こうと考えていたが、この雨と風と寒さと寂しさにすっかりモチベーションダウン。30分おきに運行中のシャトルバスも出発してしまい、このままではスタジアムツアーに間に合わない。ココはタクシーを使おう。「(エスコンが出来て)人がたくさん来てる。この街がもっと賑やかになってくれればね」。地元ドライバーさんも期待に胸を膨らませているようだ。

 駅から5分もかからず1塁Coca-Colaゲート前に到着。この時間入場できるというレフト側にあるTOWER 11ゲートへ回り込み……朝10時半、遂に入場。ファイターズが誇る2人の偉大なる背番号11、ダルビッシュと大谷の壁画がお出迎え。時間は限られている……可能な限りエスコンを満喫するぞ!

 ココに来たらまず味わっておきたいのは、日本ハムの代表作「シャウエッセン」を北海道産小麦を使ったパンに挟んだホットドッグと、球場で醸造している限定クラフトビール。エスコンならではの最強バッテリーだ。

 正午からはファイターズガールがインタビューエリア、ダグアウト、グラウンドなどをアテンドしてくれるスタジアムツアーに参加。今回は田中杏奈さんに案内してもらった。ファイターズの選手たちやマスコットのフレップがウォーミングアップしているすぐそばまで接近できる。さらに劇空間作りへのこだわりや熱い想いに触れることができた。毎回参加したいツアーである。

 その後は球場内天然温泉「tower eleven onsen & sauna」へ。フィールドを眼下に望みながら内湯に浸かる。今まで様々な温泉に入ってきたが、練習に励む選手たちを眺めながら入浴なんて初めてである。こちらは全裸でゆったり……何だか申し訳ない。

 午後2時30分、僕はここでタイムアップ。「前半戦」終了である。この後のバファローズ戦が非常に気になるが、誰も乗っていないシャトルバスで北広島駅へ。初エスコンで試合を見ずに帰るとは……うしろ髪引かれる思いだが、東京のスタジオへいざ出勤だ。(ちなみに試合は6−3で勝利。田中正義初セーブ。立ち会いたかった……)

4月26日のオリックス戦、試合後の万波中正(左)、田中正義(中)、アリエル・マルティネス(右) ©時事通信社