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「吉井さんて競馬とリンクさせてるんじゃないかな」

 ここでちょっと話は横道にそれますが、実は競馬関係者には馬に乗れるくらいですから、運動神経が良い野球経験者が多かったりします。私がロッテファンの鑑として私淑する通称“アニキ”は、オリオンズ時代からの筋金入り。東京は小平市の出身で、小学生の多くが巨人や西武の野球帽をかぶっているなか、「よく2度見された」というロッテの野球帽を愛用していたという孤高の人です。

 かつては小平リトルシニアでプレーした経験があり、当時対戦した選手には95年ドラフト1位で西武に入団した高木大成選手が八王子リトルシニアにいたそうです。「センスがあると注目されていたし、雰囲気があったなぁ」と振り返りますが、バットとグローブをムチに持ち替えた今も野球愛は健在です。

 そのアニキに吉井監督への期待を聞くと、「最高だよね。選手目線に降りてきてくれている感じがするもんなあ!」ときっぱり。そこには吉井監督が馬主という顔を持っているというシンパシーも手伝って、私もアニキも応援したい気持ちが人一倍膨らむのは自然の成りゆきというものでしょう。

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 采配ぶりの話題になれば、「勝手な想像だけどさ、吉井さんて競馬とリンクさせてるんじゃないかなと思えるんだよね。馬もフレッシュな方が力を出せるもんだけど、ピッチャーの交代のタイミングや1軍と2軍の入れ替えなんか、うまいように思うんだよなあ」とのこと。実はこのアニキ、有馬記念を勝った馬の背中を知るほどのベテランの腕利きで、ロッテ愛の熱さもあって妙に説得力がある。今季初勝利のゲームで西野をスパッと5回で交代させて勝利投手にしたのも、当たり前のように見えて吉井監督のうまさのように私も思えるのです。

「今日をチャンスに変える。」。思えば西野投手は、育成選手時代はもちろん、初めて1軍でチャンスをつかんだ時、そして苦しいリハビリに向き合っていた時も、この姿勢でひたむきに汗を流していたのではないでしょうか。チームが13年ぶりに4月を首位ターンで終えて、西野投手が開幕から3勝1敗と結果を残しているのも、“吉井イズム”が生きていると思います。我らが先発投手陣の「大本命」は佐々木朗希投手で異論はないでしょうが、2番手の「対抗」は種市篤暉投手やメルセデス投手を指名したくなるところでも、個人的には先発陣の底上げを願って西野投手に強気な重い印を打ちたいと思います。できれば自身初の2ケタは勝ってほしいところですね。

 ちなみに冒頭で触れた私のロッテのスローガンベスト3ですが、他の2つを最後に発表しておきましょう。まず一つは18年の井口資仁監督の「マクレ」。これは競馬、ギャンブルの戦法に通じるので、勝手に親近感を覚えてキーホルダーを衝動買いしましたね。そして一番は94年の「激闘」。やっぱり物心ついた小学生の時、親に頼み込んでUHFアンテナを設置してもらって、千葉テレビを見られるようにしてもらった身としては忘れられません。そう言えば日曜日の深夜に同放送局で「激闘マリーンズ」という応援番組をやっていたことなんて、今じゃ覚えている人は何人いることやらでしょうね。というわけで地味なようで味わい深いスローガンのもと、ダークホースの雰囲気がみなぎるマリーンズの“激走”を一緒に期待しましょう!

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