名古屋市中区のホテルで女子大生の加古結莉(かこ・ゆり)さん(20)の遺体が見つかった事件で、嘱託殺人罪に問われた鈴木健太被告(48)と、自殺ほう助の罪に問われた渡辺真由美被告(40)の公判が24日、名古屋地裁であった。検察側は鈴木被告に懲役3年、渡辺被告に懲役2年を求刑した。一方、弁護側はそれぞれ執行猶予付きの判決を求め、結審した。判決は6月14日に下る予定だ。
彼らは自殺願望を持っていて、SNSを通じて知り合ったという。亡くなった加古さんはなぜ死を選んだのか。普通の大学生のようにキャンパスライフを送っていた加古さんについて報じた当時の記事を再公開する。(初出:2022年12月11日。年齢・肩書は当時のまま)
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「加古ちゃんは事件があった前日の5日も講義を受けていましたし、テストに向けて勉強していました。いつもと変わった様子はなかったです。私は、そんな子が自殺を望んでいたなんて思えないんです……」
名古屋市中区のホテルで女子大生の加古結莉(かこ・ゆり)さん(20)が遺体で見つかった事件。同じ大学に通う同級生はこう訝った。
「薬に精通していた」は短絡的
12月6日、加古さんの遺体はホテルの一室で見つかった。頭にはビニール袋をかぶせられ、首のあたりにはビニールテープが巻かれ、密閉されたような状態だったという。
「異様な状況ではあるものの、加古さんに目立った外傷や争った形跡はなく、室内からは睡眠成分が含まれる市販薬が見つかっています。司法解剖の結果、死因は急性呼吸不全による窒息死でした。薬を服用し、なんらかの形で頭にビニール袋をかぶせられたことが原因と見られます。
捜査当局は、一緒にホテルに宿泊していた福島県伊達市の渡邉真由美容疑者(39)、愛知県安城市(自称)の鈴木健太容疑者(48)、兵庫県姫路市の18歳の女子大生の3人を殺人の疑いで逮捕しました。4人は住む地域も年齢もバラバラで、日常的な接点が見られません。当局は、『彼らは自殺願望があり、SNSを通じて知り合った』と見て捜査を進めています」(社会部記者)
加古さんは名古屋市内にある大学の薬学部に在籍していたため、「薬に精通していた」と見る向きがある。しかし、前出の同級生はこうした見方は短絡的だと語る。