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「セクシャルマイノリティであることは、私の全てじゃない」

ーー本を出版してからの反響は大きかったですか。

椿 全然違いました。海外展開もしたので、出版イベントで台湾に行ったり、アジア圏でも結構売れたので海外のメディアの仕事もしました。全国の書店で握手会やサイン会もしたんですけど、 行く先々で「先生」と言われて「えええ」となったり(笑)。

©鈴木七絵/文藝春秋

 セクシャルマイノリティの方から「自分らしく生きようと思いました」と言葉をいただいたのは嬉しかったですし、セクシャルマイノリティのお子さんを持つ親御さんも参考文献みたいに読んでくれていました。

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 あと、学校の課題図書にも選んでもらいました。ポプラ社だったこともあって、小学校、中学校とかの図書館でも置いていただいて。それはよかったなと思いました。

ーー一方で、アダルトコーナーに置いている書店もあったとか。

椿 テレビと同じようにセクシャルマイノリティ=イロモノ、エロみたいな考えが当時はあって、エロ本コーナーに置いてあったこともありました。私がフィットネスのDVDを出した時もエロコーナーに置かれてましたね。当時の偏見の塊のような人たちからすると、やりかねないなという感じではありました。

©鈴木七絵/文藝春秋

ーー著書を読むと、そうした偏見をなくすことに使命感を持っていたと感じました。

椿 デビューした当時は、セクシャルマイノリティへの偏見がすごく強かったですし、勝手にセクシャルマイノリティだけでなく、コンプレックスを持った人たちの力になれたらいいと思っていたんです。でも、どこへ行ってもセクシャルマイノリティの人と扱われてしまって...。

 私にとってセクシャルマイノリティであることは、個性の一つではあるけれど、私の全てじゃない。私のセクシャリティを話さなくても大丈夫な、一タレントとしてのスキルが欲しいなと考え、そこから司会業やゲーム実況の仕事をやるようになったんですよ。そうした仕事だったら、セクシャリティについて話さなくていいですし。