冒頭のサムスンの場合、ユーザーが夜、スマートフォンのカメラを上に向け、ズームで撮影しようとしたことで、スマートフォンのAIが「このユーザーは月を撮りたいのだな」と判断し、月が綺麗に撮影できるモードに自動で切り替え、さらに撮影した後に月がさらに綺麗に見えるような加筆を施した可能性が高い。
スマートフォンのAIは時間や本体の向き、場所などをすべて把握している。極端な話、将来的には浅草・雷門の前でカメラを起動したら、雷門がメチャクチャ綺麗に撮影できるモードに切り替えるなんてお手の物だ。
グーグルのスマートフォン「Pixel」では、撮影後、背後に写り込んだ余計なモノを消去できる「消しゴムマジック」という機能が人気だ。
将来的には、観光地で雨が降り、傘を差した集合写真も、AIが一瞬で、天気を晴れにしてしまい、被写体の傘も自動的に消してくれるなんていうスマートフォンのカメラが出てきてもおかしくない。
すごすぎるAIが作る「実在しない偽物のフェイク画像」が氾濫する未来
昨今、ChatGPTを筆頭に、生成系AIが話題であり、AIが高度な画像を作るというのも常識になりつつある。このようなAIが進化することで、実在しない偽物のフェイク画像がインターネット上に氾濫するのは時間の問題だ。
しかし、画像編集ソフトを手がけるアドビや、カメラメーカーのニコンなどが集まり、ネットに流通する画像が、どのような編集をされたのか、過去の編集履歴を追える仕組みを開発し、現在、様々な企業で導入が検討されている。
こうした仕組みが広がることで、どんなにAIが処理をしても、「最初に作られた大元の画像はどういったものなのか」を確認することが可能になる。
スマホのカメラや生成系AIの登場で、誰もが簡単にフェイク画像を作れるようになる時代がやってくる。ネット記事やSNSなどの画像を一目見ただけで簡単に騙されることなく、一瞬、立ち止まって、真贋を確かめようとする心づもりが必要になってきそうだ。