三石 アニメーションだと、一緒にいる時間が長いようで短いから、スタジオを出たら私の場合は切り替わります。でもドラマだと撮影の3カ月間みっちり役と一緒に生きているから、細胞に役が入り込んでる感覚がありましたね。『リコカツ』の撮影中は、プライベートで家にいる時に「美土里の顔になってるよ」と家族に言われた時もありました。
──2019年に『科捜研の女』のドラマ初出演も話題になりました。
三石 あの時は撮影のため1人で京都の現場に向かいました。だから、なんだか心細くてですね(笑)。ドラマの撮影現場の常識がわからなかったから「どこにいたら邪魔にならないか」「待機中は何をしてもいいのか」と、とにかく何でも質問してました。出てないシーンもこっそり見学してました。
ドラマは、お芝居を撮影して、また別の角度から同じお芝居を撮るのですが、それも知らなくて「さっきのは何がダメだったんだろう?」なんて考えていました。それくらい何もかも初めて。
──アニメのアフレコだとリテイクになったら「演技を少し変えないと」と考えてしまいそうです。
三石 「違うお芝居をしなきゃダメなのかな? 変えた方がいい?」と頭の中がぐるぐるしましたが、スタッフさんから「さっきと手の位置が違うから、同じにしますね」と直されて、別角度から何カットも撮るのだとようやく気づきました。
──あとからカットをつなぎ合わせるためなんですね。
三石 『リコカツ』を撮影している時に発見したんですが、他の俳優さん達は自分が映っている時は本気の素晴らしいお芝居して、別のアングルから私だけ撮っている時はフラットにセリフを投げてくれる、みたいな熱量の違いを感じたことがあったんですよね。現場ではそういった発見がたくさんあって勉強になりました。
大河ドラマ本番に向け整えていく
──実写作品に出演する前に、声優仲間にアドバイスをもらった?
三石 『リコカツ』に出る前に同期の高木渉(代表作は『名探偵コナン』の高木刑事など)君に聞きました。「何をどうすればいいか全然わからない」と話したら、「とにかくセリフは全部(頭に)入れて行った方がいい」と。他にはドライ(※ドライ・リハーサル。カメラなしでシーンの頭から最後まで演じること)をやってから本番に入る、前室があってスタンバイするなど、基礎的な流れも教わりました。
渉から聞いて一番安心したのは、役者の方はシャイな方も多いということ。「口数が少なくても、俳優同士で仲が悪いとか、こちらに対して嫌な感情を抱いているわけではないから、気にすることはないよ」と事前に聞けたのがホント助かりました。