「街録チャンネル」は、あくまでもバラエティコンテンツ
――登録者数100万人を超え、社会にいろんな変化を起こしても、そこは変わっていかないですか？ 正義感が芽生えたりだとか。
三谷 登録者数が増えても、自分で何か規制したり、方向性を変えるつもりはないです。とはいえ、全く、何かの、誰かの役に立ってなかったら、YouTubeチャンネルだろうが何だろうが、失敗するものなんだとは思います。
1000人取材して本人が喜ぶようなものができたら、周りの人10人くらいも嬉しいだろうから、きっとその10人は登録者になってくれる。そうしたら1万人登録くらいまでいくかな、とか、そういう気持ちはありました。そもそもそういう動画じゃなかったら、こんな誰がやってるかわからないようなYouTubeチャンネルを、誰も見てくれないでしょう。
しかし、今の大手のマスコミは「報道で真実を伝えるんだ」って雰囲気を大義名分で醸し出しながら、「こっちはピックアップするけど、あっちは扱わない」みたいなことを露骨にやってますよね。例えば「暴露系YouTuberガーシーが国会で除名になりました、国際手配になりました」っていう報道は大々的にやる一方で、ジャニーさんの性虐待については、組織の問題でもあるってことが明らかになってるのにほとんど取り上げない。
YouTubeで個人的に暴露してたガーシーさんと、デビューを餌に何人もの10代の若者に性的虐待を加え続けたって事実を組織的に見て見ぬふりしてきた人たち、「被害者の数や組織の問題だったことを含めたら、どっちがヤバいの？」っていったら、僕は後者だと思うんですよね。まあ、日本の報道と言っても、権限がない現場の人たちは悪くないと思います。でも、そういう構造で作られているニュースって何の意味もないですよね。
とはいえ、そのおかげで、僕たちの仕事が生まれてる。だって五ノ井さんの自衛隊の件だって、もしも「これはおかしい！ 取り上げよう！」ってテレビ局があって、そっちで話題になったら「街録チャンネル」で動画あげたって、誰も見ないですよ。だからこの状況はある意味ラッキーなことだとも思ってるんです。
ジャニーズの被害者である岡本カウアンさんも「街録チャンネル」で「自分が見てきた世界」を喋ってくれるなら協力したい、と思ってます。日本のテレビ各局がこのことを扱ったとしても、ほんの一瞬だったり、ジャニーズを大きく叩いたりしないだろうし。それなら僕らが協力するほうがいい。
――なるほど。
三谷 単純に応募してくれている人たちの気持ちに応えたほうがいいなって感じている、それだけのことです。岡本さんもあれだけ事細かな内容を会見で話してるから、彼の主張っていうのはもう視聴者に伝わっている。でも、もしここでしゃべりたいって言ってくれるなら、こっちも応えた方がいい。だって「YouTubeチャンネルにまで無視されてる」と変に傷つくより「届いた」って受け止めてもらったほうがいいから。
