この時点でホストに貢いだ額は700万円以上。しかしA子さんは「あの時すっぱり止められていればずいぶんマシだった」と振り返る。その後A子さんは仕事に打ち込み、職場では彼氏もでき、親との関係も徐々に回復し始めた。その矢先、“担当”から再び連絡が届く。
「1年くらいは歌舞伎町に近づかない生活を送っていました。でもある日、担当から『久々に来ないか?』と連絡が来たんです。ちょうど彼氏と喧嘩したタイミングで、イライラしていたので担当に『行く』と返事をしてしまいました。以前ほどお金もないので売掛で遊んで、それからは彼氏と喧嘩する度にホストに通う生活が再開しました」
「お前が着てるのブランド物だろ、売ってやるから早く脱げよ」
すでに手元にブランド品はなかったので、彼氏や友人からもらったプレゼントを質屋に預けたお金でホストに売掛金を支払っていたが、借金はかさむばかり。そんな生活が1年間続いたある日、完全な破綻がA子さんを待っていた。
「売掛が100万円を超えて『これはさすがに払えない』と思って担当ホストに相談したんです。親身になってくれると期待していたんですが、真逆でした。首元を強く掴まれて、質屋まで連れていかれ、『お前が着てるのブランド物だろ、売ってやるから早く脱げよ』と顔面を殴られて……」
ホストに殴られた顔は腫れあがり、上から下まで服を奪われてヒートテック1枚と下着姿に裸足で帰宅したA子さん。彼氏から記念日にもらったネックレスだけは買い戻そうとしたが、翌日にはすでに売れてしまっていた。後日、彼に全ての事情がバレて破局、親からも「今後一切お金は渡さない」と宣言されてしまった。
「あれから、質屋を見るとギョッとするようになりました。もちろんお店が悪いわけではないんですが、若い子たちが使う時は本当に慎重になってほしいですね……」
それでもA子さんは、現在も質屋を利用しながらホストクラブの売掛金を返済し続けている。取材の終わり際、A子さんは「お金も、家族も、彼氏も全て失った。やっぱり担当に会いに行くしかないですかね」と笑って見せた。