2歳下の涌井をライバル視
クールで爽やかな外見からは想像できない人も多いかもしれないが、岸は自他共に認める程の負けず嫌い。西武時代は先発ローテで一緒に一線を張っていた2歳下の涌井秀章をライバル視してきた。
「あいつはこっちを別に見てないかもしれないけど、俺はずっと(意識して)やってきて、勝ち星を競ってきた」
週ごとに白星がついた方に食事をごちそうするのが2人の常だったという。グラウンド外でもテレビゲームで幾度となく火花を散らした。現役時代の石井、西口文也(現西武2軍監督)、炭谷らと西武第二球場での練習終わりに寮の一室に集合しては「ボンバーマン」で熱戦を繰り広げた。
「監督や西口さんは弱かった」と笑いつつ、「一番強かったのはワク(涌井)」と実力を認めながらも、すぐさま「『テトリス』はワクに負けたことがないよ」と返って来た。中日に移籍した盟友は通算155勝をマーク。「もちろんあいつにも頑張ってほしいけど、早く勝ち星で追いつきたい」。ライバルへの対抗心が尽きることはこの先もないのだろう。
味わい深かった涌井からの祝福のメッセージ
紙面でも紹介したのだが、涌井からの祝福のメッセージが味わい深かったので、ここでも紹介したい。
「岸さん150勝おめでとうございます。ここからは親しみを込めて岸君と呼ばせてもらいます。岸君とは若い頃から常に一緒にいて、何でも話ができるライバル、お兄ちゃん、親友的な存在です。
お互い40歳が近付いてきているけど、まだまだ投げたら完投するという昔からの心構えを忘れずに200勝目指して頑張っていきましょう!
追伸。交流戦投げ合えたらいいね」
中日との交流戦(楽天モバイル)は6月9~11日の3連戦。両雄の投げ合いが実現すれば、ファンも大いに盛り上がるはずだ。
岸は「目標は高く、元気で投げられる限りは一つでも多く勝って、その目標に近づけたら」と200勝への思いを語った。
「糸を引いたように美しい」と評されるストレート。大きな弧を描くカーブで打者を翻弄し続ける投球をこの先何年も見ていたい。
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