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これをきっかけに、ホークスOB会の発足なるか

 改めて、試合後の野村総監督。

「野球界の長老として、この企画を来年以降も続けるのかという視点で見ていました。ファンの皆さんが昔を思い出して懐かしそうにしていた。だとしたらどんどん続けるべきじゃないですかね」

 過去に巨人は何度もOB戦が行われている。一昨年も台湾で試合が開催されている。

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 ホークス球団においてOB戦が行われた記憶は、古参の球団スタッフらに訊いても「無い」という。少なくとも福岡移転後は実施された記録がない。

 ブランド力の違いはあれども、巨人とホークスで決定的に違うこと。

 それは、ホークスには「OB会」が存在しないという点だ。

 親会社が変わっている。本拠地も移転している。様々な理由はある。だが、その中の一つには南海ホークスで「4番・捕手・監督」の金看板だった野村克也氏が1977年の秋に球団と決裂してチームを去ることになった出来事が、どうしても絡んでいたようなのだ。

 チームはぐちゃぐちゃになり、南海は長い低迷期に陥り、その結果が球団身売りだった。暗黒時代は福岡に移ってからもしばらく続いた。

 一方で野村氏はこのOB戦の日も「南海のユニフォーム? 大キライだよ。これにお世話になって、裏切られて。半分半分だな、感謝と憎しみと」と皮肉たっぷりだった。もちろんノムさん流のジョークなのだが、それを真に受ける人もいたということだ。

 しかし5年前の2013年に、野村氏はホークス球団の公式行事に、退団後初めて顔を見せた。そして今回のOB戦だ。かつてのような溝は、確実に埋まりつつある。

 今年、球団創設80周年の節目の年。今シーズン、ヤフオクドームで行われる公式戦では月1回の予定で「レジェンドデー」も開催される予定になっている。

 この機にぜひ、ホークスOB会の発足を。

 そんな願いを込めて拙稿の準備を進めていたところ、球団内でも検討の声が上がり始めているという話を小耳にはさんだ。今後の動きに注目するとともに、大いに期待をしたい。

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