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起訴前に100万円での示談を持ち掛けた田中被告

「自分のことばかり追い詰めるようになり、死にたくてたまらない毎日でした。当時は“自分なんていなくなればいいんだ”と自殺の方法を調べていました。精神的に不安定になってマイナス思考から抜け出せなくなり、私の生活は一変しました。

 まだ子供の自分が、一方的におじさんの性的対象になってしまった恐怖と嫌悪感で、男性と話したり、登下校の満員電車に乗るのが怖くなりました。現場となった駐輪場も当時を思い出してしまうので、あれ以来、一度も利用できていません」(同前)

中学時代の田中容疑者。強制わいせつでの前歴がある

 そんなAさんだが、田中被告からの謝罪が全くなかったため、裁判が始まる前から「田中被告が自らの罪と向き合えているのか疑問だった」という。

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「起訴前に、100万円での示談を持ち掛けられました。示談をする意思はありませんでしたけど、お金で何事もなかったことにするつもりなんだと呆れ果てました。そして、起訴後は賠償金の申し出も一切なくなり、社会的な謝罪の意思を示すことすらありませんでした。なぜ、きちんと謝罪や公式の声明を出さなかったのか理解が全くできません。時間はいくらでもあったはずです。田中被告からの正式な謝罪が全くないので、本気で申し訳ないと思っているとは感じられません」(同前)

「大人の茶番を見せられているようで唖然とします」

 さらに、初公判での田中被告の主張はAさんの気持ちを逆撫でし、唖然とさせた。

「田中被告は私のことを『18歳か19歳だと思った』と言っていました。でも、私のことを『大人っぽい』と言う人は一人もいません。むしろ実年齢より幼く見られることの方がよっぽど多いです。未成年に声をかけたつもりはなかったと言いたいのでしょうけど、罪を軽くしようと考えているんだなと感じました。

 しかも、田中被告は『肩から二の腕に軽く触れた』と主張していますが、実際には、私は手首を掴まれて駐輪場の死角へと引きずられそうになっています。事件当日、警察署でそのことを真っ先に訴え、刑事さんに手首付近の付着物を調べてもらいました。被害直後なので私の記憶が間違っているはずはありません。気持ち悪すぎてずっと手首付近をさする私に、刑事さんが『採取前は触るの我慢してね』と言ったほどです」(同前)

中学時代の田中容疑者

 双方の認識が異なる「手首を掴んだかどうか」の真相は闇の中だ。弁護人は「罰金刑」の根拠として「(手首に)触ったという証拠は出ていない」「痴漢ほど悪質ではない」などと強弁した。

 これまでの前歴や、盗撮、電車内での自慰行為といった大量の“余罪”が発覚した田中被告。「(今後は)二度としません」と殊勝な態度を見せているが、Aさんは「大人の茶番を見せられているようで唖然とします」と切り捨てる。一方で、心を痛めているであろう田中被告の母親へはこう配慮を見せた。

「私が被害にあった事件だけでなく、中学生時代を始めとした数多くの犯罪を続けてきた息子を見捨てずに、逮捕されたときもわざわざ関西から東京まで来て、裁判にも出廷し、証言台にまで立っていたお母さまへの感謝を絶対に忘れないでほしいと心から思います」

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