32歳の今井容疑者が人を殺すに至るほど絶望した「先の見えない人生」とはどのようなものか。
今井容疑者の勤めていた警備会社によると、今井容疑者は別の警備会社から3週間ほど前に転職し、契約社員として働き始めたばかりだったという。警備会社の男性従業員は、今井容疑者の印象をこう語る。
「私の知っている今井容疑者は坊主頭で、まじめな雰囲気で……。入社して3週間ということもあり、研修を終えてやっと業務を開始した“新人”の扱いでしたが、勤務態度に特に問題はなかったと聞いています。
そもそも警備会社が人と契約する時は、警備業法に記載されている欠格事由、つまり『警備員になれない条件』に該当するか調べます。例えば、過去に禁固以上の刑などに処せられていないか、暴力団員との付き合いがないか、などです。今井容疑者にそういった事由は見当たらず、犯罪を犯したり、ましてや人を殺すようにはまったく見えませんでした」
「きらびやかな人生」を送る風俗嬢への嫉妬と殺意
今井容疑者は入社と同時期に、足立区にあるこの会社の寮で生活していたという。
事件現場となったソープランドまでは、直線距離にして約5キロメートル。新しい仕事につき、新しい家に引っ越して1カ月もしない間に、工藤さんに殺意の矛先を向けたことになる。
今井容疑者が「きらびやかな人生を送っていることに殺意が芽生えた」と供述したのは、工藤さんがSNSで12万人のフォロワーを持ち、高級な雰囲気の部屋や旅行の写真などをアップしていたことを指しているのだろう。
2021年8月に小田急線の電車内で当時36歳の男性が女子大学生の背中や胸など7カ所を牛刀で切りつけた事件でも、男性は逮捕後に「幸せそうな女性を見ると殺してやりたいと思うようになった」「(女子大生が)勝ち組に見えた」と供述しているが、今井容疑者と精神性は共通しているように見える。
「今井容疑者の動機について、警察はソープランド『X』から出入り禁止の処分を受けたことに対し、被害者の女性に一方的に恨みを募らせて殺害に至ったとみているようです。捜査の中で、詳しい犯行動機も追及する方針です」(前出の社会部記者)
吉原の風俗店関係者によると、ソープランド「X」は女性キャストが男性客と恋人関係かのように振る舞う“色恋営業”が有名で、女性キャストにハマってしまう“ガチ恋”客が多かったという。
「きらびやかな人生」とは一体なんなのだろうか……。