22万円の賠償を命じる地裁判決が確定
さらに、甲府地裁はB氏によるパワハラにも言及したうえで、〈被告は、Bの原告に対する違法なパワーハラスメントを直接見て、原告から、直接(略)パワーハラスメントや嫌がらせが辛い旨聞いて〉いたとし、〈パワーハラスメントを防止するため適切な措置を講じる義務を負っていたというべきであるにもかかわらず、何らの措置もとらずこれに違反したと認められる〉として、パワハラ防止措置義務違反にあたる旨を指摘した。
つまり、甲府地裁は、田中氏のA子さんに対する限度を超えた叱責といった違法なパワハラ、そして、部下のパワハラを放置したことによるパワハラ防止措置義務違反について認定したのだ。
A子さん、田中氏ともに判決を不服として控訴したが、東京高裁は今年2月、双方の控訴を棄却。田中氏のパワハラやパワハラ防止措置義務違反などを一部認定し、22万円の賠償を命じる地裁判決を支持した。その後、両者は上告せず、判決が確定している。
A子さんは事実関係を認め、次のように語った。
「23年間務めた職場でしたが、田中氏や彼の部下B氏からのパワハラで、私は退職を余儀なくされました。今も不眠や震えが続き、心療内科に通っています。裁判が終わった後の連合山梨や自治労山梨県本部の消極的な対応には失望を感じました。新たなパワハラ被害を出さないためにも、働く人のための労働組合として明確な対応を示すべきです」
「私はやはり今でもパワハラという認識はないんですね」
田中氏に話を聞いた。
――高裁判決について。
「パワハラという所では、司法の結果として一部パワハラが認められたということはありますけれども、私はやはり今でもパワハラという認識はないんですね」
――イジメに近い面も。
「それはまた違うんだな~。やっぱり」
――責任者として、パワハラ防止措置を講じなかった。
「何もかも見て見ぬふりをしてきたわけではない」