大きな目標を掲げないほうがやりやすい
――話を目標に戻しますが、大きな目標を掲げるというよりは、現実的にクリアできそうな目標をまず提示するというやり方に思えます。
「自分の性格的に、身の丈に合わないことは言わない。身分相応の目標ですよね。ワードセンスは悪いかもしれないけど、あまり大きな夢は見ない主義なので。『これ最低限だぞ』と強調しながらクリアして上方修正していくほうがやりやすいですね。下方修正となると難しくなるというのが自分の考え」
――今季、6位から1つだけ順位を上げる目標にはどのような意味が?
「やっぱり徐々に階段をのぼっている感覚が自分のなかにあります。2014年の昇格プレーオフで最後、キーパーの山岸(範宏)に決められて山形に負けたときを『末端』としたら、そこから1歩ずつ進んできた。ただ、去年の成績は正直、出来過ぎ。3段一気に飛び越しているから、たとえ今年1段降りたとしてもトータルで見れば、進んでいることになる。大切なのは、クラブ、監督とスタッフ、選手が目標を共有して、一緒の方向を見ることだと思います」
復帰した選手に「リハビリのつもりで」の真意
――目標という視点からもう1つうかがいたい。昨年は残留争い、ないしは残留争いに巻き込まれかねない「Cクラス」と勝ち点差を離して「Bクラス以上」が確実になってくると、次のトライに入っていきます。9月30日のFC東京戦ではこれまで結果を残してきた3バックではなく、シーズン序盤の4バックに戻して臨んだのもその表れでした。
「7月29日にアウェーで川崎フロンターレに勝って6連勝して、あの時期から残留争いを考えなくてもよくなっていった。じゃあ次にどうしようかと考えたら、4バックとの併用はずっと頭にあることだし、次の段階に進んでいけるな、と」
――あの試合ではドイツから復帰した山田大記選手を初先発させ、トップ下で起用。「リハビリのつもりでリラックスしてゲームに入ろう」と送り出しています。無論これは、舐めて掛かるということではなく、山田選手のプレッシャーを解くための「メッセージ性のあるワード」だったと感じました。
「山田はドイツでずっとボランチをやっていて、2列目をしばらくやっていなかった。久しぶりのポジションなので硬くならずにリラックスしてやってほしいという意味で、ただそういう表現をしただけです。このときの出来はあまり良くなかったけど、彼のなかで何か新しいものが芽生えればいいな、とは思いました」