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 感無量の面持ちで始まった優勝インタビューでは、「多くの若い選手が力をつけた中での優勝をどう感じているか」と聞かれ、20秒近く言葉が出なかった。そして、「うれしい。たくさんの人に感謝したい」と言い、涙を拭った。

「若い世代に勝てないのではないか、もう無理なのではないかと思ったこともあったし、言われることもあった。でも、そうではなかった。まだまだやれると思っています」。この芯の強さが石川の最大の武器だった。

「五輪ではやっと日本選手同士で争わなくていい」

 五輪の代表選考では、わずか2枠しかない女子シングルス代表争いを10年以上にわたって全力で闘い抜いてきた。特に東京五輪の選考レースは「24時間ついてくる」と表現したほどの重圧。選考ポイント2位の平野と僅差の三番手で臨んだ2019年12月の「ノースアメリカンオープン」決勝は平野との直接対決となり、この試合を制した石川が逆転で2位に滑り込むと、「五輪ではやっと日本選手同士で争わなくていい」という言葉が自然と口を突いた。

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 東京五輪は女子シングルスでこそ悲願のメダルに届かなかったが、女子団体では熾烈な代表争いで競い合った平野と組んだダブルスで一回戦から準決勝まで三戦全勝を飾り、銀メダルに大きく貢献した。東京五輪後も卓球への情熱に陰りはなく、引退を表明した時点でパリ五輪の日本代表選考ポイントは5位。世界ランクは11位。十分な力を持ったままの爽やかな引退だった。

2021年東京五輪の団体ではキャプテンを務め、ロンドン以来の銀に貢献。3大会連続のメダル獲得となった/撮影 JMPA

 卓球人気を押し上げ、魅力を広めたアスリートのこれからの人生にエールを送りたい。