田中広輔選手復調の兆しにそっと涙している皆様、こんにちは。私もです。泣くよね。泣く。

 思えば3連覇後の田中の怪我や不調は「タナキクマル」の頃から観ていたわしらにはつらいもんがあった。それはいい時期を知っているからに他ならないが、さて復調を喜べるのは悪い時期も観ていたからだ。いい時も悪い時もずっと観てた。だから落ち込むだから喜ぶ。みんなで同じものを観ていた。

 マルが去りタナが2軍に落ち、カープはBクラス続きで3連覇の影もなく、カープ女子とは聞かなくなり、キクは相変わらず華麗に舞い捕殺三昧で3割打ったりして。タナキクマル? なにそれ? 美味しいの?状態。はい、同じ光景をいまあなたも観ていますね。

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田中広輔 ©時事通信社

そうだよ、広輔はかっこよかった

 鬼門と言われる交流戦。何年振りかにZOZOマリンスタジアムへ向かう。チケットがとれた嬉しみ。毎回、電車内からディズニーランドを過ぎるあたりで「遠!」となる。「旅行じゃん」。

 実際ディズニーにはホテル宿泊込みで何度か行ったことがある。泊りがけの距離を越えるのだ。旅でしょ、もう。と、旅感があるのはマリンスタジアムのみではないので距離だけの問題ではなかったりする。

 球場へ向かうは日帰り旅感がある。東京ドームも神宮球場も毎度毎度旅をしている気分で向かう。県を越える横浜と西武のベルーナドームへも然り。たぶん、球場用の準備があるから旅感が増すのだ。選手名鑑にユニフォームに応援バットに……もろもろ詰め込む。そして球場で食べる球場メシもご当地名物感がある。

 そして祭りを観るのだ、球場で。

 同じ球場、同じチーム、やっていることはもちろん野球、でも同じ旅はないわけで。同じ場所に旅しても天候や時間が違えば光景も匂いも音も違うように。同じ試合を数万人で見守るそこまでは同じ。同じものを観ている。だけどこんなに毎回違う、同じで違う。だからこそ今日同じ球場にいることがすごいなあと実感する。確率ミクロじゃないですか?

 幾多のものから野球を好きになって、更にカープを好きになる確率だってアレなのに、同じ試合を観て田中復活で泣く確率なんてさらにアレで。同志よ。愛してる。

 文春野球コラムの対戦相手ソフトバンク。日本シリーズのソフトバンク戦を思い出したり忘れたり。第2戦、現地で田中広輔のホーム生還を正面から観た。大喜びで「宮島さん」を歌ったなあ。そうだよ、広輔はかっこよかった。それまでも観てたし、これからもずっと観る。