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「球場へ向かうは旅である」広島・田中広輔復活に思う、応援とは同じ光景を観ること

文春野球コラム ペナントレース2023

2023/06/03
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同じものを観ることの確立の微々具合を実感した日だった

 旅だと思ったマリンスタジアムにはもうひとつ思い出があって、最寄り駅の海浜幕張に降り立った野球ユニ集団は右に流れ、あきらかに違う姿の集団は左に流れた。左にはかの幕張メッセがある。とあるアニメのイベントだったのだ。パカッと左右に別れた集団はお互いを「……野球?? 野球するところが近くなんだ?」「なに? あれ。なにかイベントでもあるの??」と小さく声に出しつつ見送っていた。

 もとアニメーターの私はどちらもわかるため笑ってしもたんよ。面白い場面だった。そのもの同じ衣を纏いて同じ駅に降り立つ清浄の地に導かん、しかし同じものを観る集団同士は知らない相手なのだ。幕張メッセが近いことも球場がそこにあることも当たり前に感じているのは好きだからこそで、知らない人には当たり前でも何でもないのだった。

 同じものを観ることの確立の微々具合を実感した日だった。

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 同じものを観ていることがすでに応援なんだと思う。

 タナキクマルの田中広輔を知らない方ももうファンにはおってでしょ。新しいこれからを一緒に観たいです、よろしくお願いします。WBCから野球に入った方もいらっしゃいませ、これから同じ光景を観ていきましょう末永く。

 鬼門と言われた交流戦。秋山が言う「今年の交流戦は僕がいる。鬼門は去年まで」。かっこよすぎる! カープに来てくれてありがとう秋山。新しい旅の始まりである。選手と同じ光景を見届けられるのは嬉しい。今日ソフトバンクに勝ってますか?

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