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追悼 北別府学さん。僕に今仕事があるのは、間違いなくあなたのおかげです

文春野球コラム ペナントレース2023

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「仕事があるってほんとに有難いことなんよ」

 北別府さんはプロ野球解説などのイメージで厳しくて怖い方だと思われることも多いですが、実は面白くてとても優しい方。何度も飲みに連れて行ってくれたのですが、お酒の席での北別府さんのストレートなツッコミも好きでした。

 北別府さんが優しくて安心しきった方が酔っ払って北別府さんのことを何度も「ぺーさん! ぺーさん!」と呼んでいたときは、「なんであんたから『ぺーさん』って呼ばれにゃいけんのじゃ、友達じゃないんよ」って返していました。

「北別府さんわしはずっと大ファンじゃったんよ。今日会えてほんまに嬉しいわ、いや~やっぱりカッコいいわ~」とお酒でご陽気になった方が隣に座ってしつこく体をベタベタ触ってきたときも「あんたさっきからワシのこと触りすぎじゃ、気持ち悪いけえ離れんさい」ってはっきり言っていました。北別府さんのツッコミはどれも切れ味が良く、そして言われた人たちもみんな嬉しそうに笑っていました。

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 一度飲んでいるときに「ゴッホくんはわしの息子ぐらいの感じ。頑張ってると嬉しいんよ」と言ってくれたことは覚えていますか? その言葉がとても嬉しく、それからは何かあるたびに毎回本人の前で「北別府さんは僕のお父さんです」と言ってきました。「いやあんたを育てた覚えはないわ」って毎回すぐに突っ込んでくれるのも嬉しかったです。

 それからもお会いしたときには、「ゴッホくん最近頑張っとるねぇ、仕事があるってほんとに有難いことなんよ。文句を言わずに一生懸命頑張らんとね」と言ってくれていたのが励みになっています。

北別府さんと筆者 ©ゴッホ向井ブルー

 一度番組スタッフから聞いた話があります。「北別府さんからギャラをもっと上げてくれとか、仕事の不満を一度も聞いたことがないです。ほんとに真剣に仕事を大事にしてくれる方です」と。この話を聞いてからは自分も仕事への考え方など、より引き締まったと思います。

 そして後から知ったのですが、息子さんが僕と同い年で同じ「ひろし」という名前だったんですね。もしかしたらそこも何か親近感を抱いてもらえていた理由だったのかもしれません。

 北別府さん、突然のお別れすぎます。これからも変わらず北別府さんらしく、天国から見守ってくれると嬉しいです。優しい笑顔で、時に厳しく、そしてみんなから愛された北別府さん。本当に本当に、ありがとうございました。

沖縄ロケ中のツーショット ©ゴッホ向井ブルー

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