いま、スワローズはどん底の状態にあえいでいる。5月からの12連敗、そして交流戦中の6連敗など、2年連続リーグチャンピオンとは思えぬ戦いぶりにファンはやきもき、評論家も首をかしげている。昨年までヤクルトに在籍し引退。オリックス、そして「最後の近鉄戦士」として知られるスワローズ&バファローズОBの坂口智隆さんに、文春野球の長谷川晶一さんが「ファン代表」として聞きたいことを、率直に伺いました。

坂口智隆氏 ©長谷川晶一

チーム低迷の最大の原因は……

――坂口さんの古巣、ヤクルトが苦しんでいます。交流戦全日程終了後のここまでの現状をどう見ていますか?

坂口 決していい状態ではないですよね。髙津臣吾監督も勝つための手は尽くしているけれど、どうしても投打がうまくかみ合わない。今は踏ん張りどころだけど、一試合一試合、勝利を目指して全力でやっていくしかないですよね。

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――一昨年は日本一、昨年はリーグ2連覇を成し遂げたチームが、ここまで苦しんでいる原因はどこにあると思いますか?

坂口 僕は、塩見泰隆選手のケガがいちばん大きいと思います。ヤクルト打線は「塩見選手がいてこそ」だと思っていたし、彼を軸にして打線を組んでいたものと思っています。

――山田哲人、村上宗隆両選手の存在がありつつも、「塩見選手が軸だ」と考える理由を教えてください。

坂口 あれだけ走れて、打率も残して、長打も打てる選手というのは、相手チームからしたら相当、厄介だと思いますよ。そこに、山田、村上両選手がクリーンアップにいれば、サンタナ選手とオスナ選手のどちらかを分けることができる。要は、外国人選手のどちらかを下位に置くことができる。でも今は、塩見選手がいないことで、打順を組み替えなければいけなくなったし、去年は自由に打つことができた八番の長岡秀樹選手にも厳しいマークがいってしまう。いろいろ厳しい状況になっていますよね。

ずっと毎日、悩んでいればいい

――昨年、ブレイクした長岡秀樹選手も苦しんでいます。彼についてはどう見ていますか?

坂口 やっぱり、プロはそう簡単にいく世界じゃないということですよね。彼も今は大変だと思うけど、この時期を大切にしてほしいし、今はむしろ、日々切り替えたりせずに、ずっと毎日、悩んでいればいいと思います。

――「切り替える」のではなく、あえて「切り替えずに悩むべき」という理由は?

坂口 「苦しい時期をどう乗り越えるか」ということは本当に大切で、そこをクリアできれば本当のレギュラーになれます。今は本当に大変だと思うけど、「どうすればいいのか? どうやって打とうか?」とずっと考え続けるしかないと思います。それは誰もが通る道だし、そこを乗り越えれば次のステージが見えてきますから。

――塩見選手の復帰時期が、現状では不明な以上、現有戦力で戦っていくしかないわけですが、何か打開策や起爆剤のようなものは考えられますか?

坂口 ……うーん、難しい(苦笑)。首脳陣としてはいろいろなことを考えていると思いますけど、選手としては当たり前のことを当たり前にすること。いや、むしろ当たり前のことをより丁寧にすることが大事なのかなと思います。