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「求められた場面で、キッチリ仕事する」“私の憧れ”オリックス・比嘉幹貴投手のピッチングには人生の理想像がすべて詰まっている

文春野球コラム ペナントレース2023

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志村けんさんを彷彿とさせた去年の比嘉さん

 そして実はマウンド以外でも芸人目線で比嘉さんのことをすごいと思うことがあります。

 比嘉さんは、ここでスカしたらダメってところでは絶対にスカさないし、振られたら返しを間違えないのです。

 去年のファン感謝祭、Bsファンフェスタ2022で「#トレンド大賞2022」という、オリックスのヒットワードを決めるコーナーでのことです。比嘉さんは、平野佳寿投手、近藤大亮投手と一緒に3人で審査員をやっていました。

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「#吹田の主婦」とか「#バファローズ山脈」とか「#たぬきダンス」とか、シーズン中に流行ったフレーズが次々にノミネートされていって、3人の審査員がそれぞれ大賞に選んだフリップを一斉にオープン! って時に……、きっと平野投手と近藤投手が裏でコソコソやっていたんでしょう。2人はノミネートされていない「ビールかけのHIGA」ってフレーズを書いていて。結局、大賞は「ビールかけのHIGA」に決定したのです。

 日本シリーズ優勝のビールかけの時に比嘉さんが見せた躍動感あふれる独特すぎる動き。オリックスファンなら誰もが知っていて「比嘉さんってこんなにおもしろい人やったんや!」と話題になったあの動きを弄って、平野さんがコーナーの最初のトーク中にぶっこんでいた「ビールかけのHIGA」というフレーズ。

 この時の平野さんのフリと回収の旨さにもビビりましたが、その後の比嘉さんもすごかった!

 すくっと立ち上がって思いっきりはっちゃけてビールダンスを披露して爆笑をかっさらった比嘉さんでしたが、私は見逃しませんでした。ここはもうやるしかない! と腹をくくった比嘉さんの一瞬の顔を。その表情がファン目線で見ても芸人目線で見てもめちゃくちゃかっこよくて、それでいておもしろくて……痺れたっ!!

 その後、普通なら「いや、ないない! なんでやねん!」みたいにツッコミを入れて仕切り直してもいいところを、比嘉さんはただ切ない顔をして黙って平野さんを指さしていて……。

 黙って指をさすあの笑いの取り方。あれは、ヒゲダンスの時の志村けんさんを彷彿とさせるものでした。

 ここまでやられると、もはや脅威です。手ぇ叩いて笑てる場合ちゃうわ、負けんように私も頑張らなあかんな、と強く思いました。

観戦中の筆者 ©チキチキジョニー石原

人生の気付きを日々たくさんもらっている

 比嘉さんの投球には人生の理想像が詰まっているし、全てにおいて緩急が大事やなとも思わされます。声の大きさ(小ささ?)の緩急、トークの間の取り方。緩急を織り交ぜて躍動する投球スタイルが様々な部分に反映されていて、応援を超えてリスペクトしています。

 見始めて6年経った今、少しずつですが視野も広がってきて、比嘉さんだけでなく、いろんな選手の方の姿勢やプレースタイルで「あぁ、そうか! なるほど!」と人生の気付きを日々たくさんもらっています。

 自分の人生と重ねて見られるオリックス・バファローズと比嘉さん。

「キャー、かっこいいー!!」って思いながら、これからもタオルを掲げさせていただきます。

©チキチキジョニー石原

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