80歳のおばあさんは、朝礼台から下りる前の姿勢をチェックしていたのです。もっと詳しく言えば「浮遊ろっ骨が閉じた姿勢」になっているかどうかを見ていたのです。
浮遊ろっ骨を閉じれば体は柔軟性を取り戻す
「浮遊ろっ骨」とは、あまり聞き慣れない言葉かもしれません。ろっ骨は12本あります。そのなかでいちばん下にある「第12ろっ骨」と呼ばれる小さな骨が、浮遊ろっ骨です。後方は背骨に関節でつながっていますが、前方は遊離しているため「浮遊ろっ骨」と呼ばれています。
とても小さな骨ですが、体を動かす上で重要な役割を果たします。前屈、後屈、側屈、回旋といったストレッチの基本となるような動作の起点となるのが、じつはこの小さな骨なのです。
浮遊ろっ骨を意識できるか、上手に閉じることができるか否かによって、体は大きく変わります。
浮遊ろっ骨が閉じれるようになると、私たち人間にとってもっとも自然な姿勢、ナチュラルポジションが身につきます。
「浮遊ろっ骨を閉じる」と「ナチュラルポジション」は同意。ナチュラルポジションを一言で表すなら「地面に対して垂直に立つ」姿勢です。イメージはクラシックバレエのダンサーの立ち方です。
選手たちは“姿勢”を改善し、しなやかな体を手に入れた
実はキューバのコーチをしていたおばあさんは、元バレエダンサーでした。
バレエの立ち姿勢は、肩の力を抜いた状態で、フワッと浮き上がるイメージでまっすぐに立つ。これが、浮遊ろっ骨を閉じるコツになります。
この姿勢ができるようになると、まずウエストにくびれができます。そしてお尻がくっと上向き、スラッとしたスタイルに変わります。さらに全身が一気にほぐれ、硬くなっていた体が瞬時に柔らかくなります。
キューバの選手たちは、ナチュラルポジションをとる練習をすることでしなやかな体を手に入れ、世界最強の座に君臨していたのです。
「胸を張って、背筋をピンと伸ばす姿勢」は間違い
「地面に対して垂直に立つ」姿勢、といわれると、結局「良い姿勢をしようということでしょう」という結論にいたると思います。