『仮面ライダーディケイド』にて門矢士(かどや・つかさ)/仮面ライダーディケイド役で主演を務め、一躍その名を轟かせた俳優の井上正大氏。YouTube特撮ドラマプロジェクト『華衛士F8ABA6ジサリス』のプロデュースと並行しながら、今年1月にアニメ制作会社「AICライツ」の代表取締役就任を発表した。
地球上、どこを探しても他にはいない。唯一無二の「仮面ライダー俳優でアニメ会社社長」の肩書き。なぜアニメ制作会社の社長になったのか、聞いてみた。(全2回の2回目/前編を読む)
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全員が制作・販売・宣伝の全てを担う時代
──インタビューをしていると、井上さんが自分に嘘をつかないタイプであること、裏表がないのがすごく伝わってきます。先の同業者との金銭トラブルでネットニュースになった時も、井上さんは自由に発言しつつ、ものすごく炎上したという印象ではない。自分の知っていることを正直に話すタイプだからかなと。
井上正大(以下、井上) あれはツイートすることではなかったかもしれないですね。
──禍根が残るような終わり方はしなかった気がします。
井上 賛否両論あると思うんです。でもSNSでは、本人が思ったことを発信していいと思うんですよ。自分で責任を取ればいいだけで。事務所に所属していたり、CMに出演してイメージが悪化することはしてはいけないという契約があればまた違いますが、きっと僕の場合はそういう契約もしない。「他の俳優にお願いします」と断るだけです。
金銭トラブルの件で、もっと炎上して僕が批判されたとしても、それは自分の幼稚さが招いた結果。SNSがある時代では、良くも悪くも誰もが全部さらけ出してしまっている。だから、この件で批判されれば素直に受け入れようと思っています。
──若手俳優の中には、井上さんのようなマルチな活動をしたい人もいるのでは。
井上 そんなことはないですよ。役者だけやりたい人も多いです。ただ、僕がやっていることって最終的にはどこでも必要になってくると思うんですよ。ライターも記事を書くだけじゃなくて、宣伝のために表舞台に出ることがありますよね。
──ありますね。
井上 それを続けると必然的にマルチな活動になります。他の業種の社長も、自社の商品を売るために、自分達でSNSに動画を投稿したり、YouTubeチャンネルを作ったりしますよね。どの業種も、制作・販売・宣伝の全てを担う時代なんです。最終的にそれをどうマネタイズするかに行き着く。僕と同じです。
──社長が自ら商品の宣伝をする「ジャパネットたかた」みたいな。
井上 あそこが最強です。人々が好むコンテンツも細分化しているし、機材さえ揃えば自分たちで制作もできてしまう時代。昔から芸能界にいる人は適応するのが大変だと思います。今はAIも発展しているから、ふるいにかけられる職業もいっぱいありますよ。ChatGPTがあればライターも必要ないって言われるかもしれません。
──ライターも危ういですか?