井上 「このトピックの記事を書いて」とChatGPTに入力するとかなり精度の高い文章にしてくれますよ。こういう最新の技術を使って、僕らのドラマ制作の現場も少数精鋭で撮影してます。なるべく予算を下げて、この座組でどれくらいできるかチャレンジする企画でもあるので。こういうのはどんどん活用していきます。
AIを知らずに作品づくりは難しい
──『ジサリス』で特撮ドラマの制作が進行中かと思いますが、アニメ作品はどうですか?
井上 1タイトルだけ制作に向けて走らせている最中です。ここから制作完了まで3年くらいはかかります。企画、シナリオ、監修やライツまわりなど、必要になれば何でもやっていきますよ。
──声優としての参加の可能性は?
井上 やる場面になればやっていると思います。あとは、そこもAIで何とかできるかも。声を作ってセリフを言わせるみたいなことですね。改めて芸能界って生き残りに向けて必死にならないといけなくて。他人事みたいに言ってますけど、僕も俳優だから、油断すると仕事をAIに取られてしまうかも。芝居一本で続けてきた人も、戦略的になる必要がある。
そういう意味では、僕はこれからは一緒に仕事するのも若手を選ぼうと思ってるんですよ。
──どうしてですか?
井上 これからの時代に必要なのは、ひとつの能力が高いとか、実績がある人ではなく、いかに最新のソフトを使いこなせるか。そうなると若い方が適応力が高いんですよ。『ジサリス』で監督をメインとしながら、細かいこともやってくれている田邉明宏や、CG、小道具も作っている池田竜太もその適応力の高さが素晴らしいクリエイターです。一緒にやってて楽しいし、エネルギーもあるから、僕もがんばろうと思えます。
「爆発の表現ならまかせとけ」と言われても、予算の問題があるから、そのスキルだけで人を雇うのは難しい。AIに描かせてもいいわけですから。AIを知らない人がいい作品を出そうと思っても難しいです。AIが「何をしないか」を知った上で、人間側が独自性を出すことが大事なんです。
──弱みと強みを把握する。
井上 AIの弱みも強みも利用すればいいんですよ。脚本家にもChatGPTを教えて、脚本を書くスピードを倍にするよう伝えています。
──『ジサリス』をテレビ地上波ではなく、YouTubeで配信すると決めた理由は?
井上 テレビで流すかどうか悩んだ時期もありました。でも、コンテンツが多様化している中で、テレビを見ていない人も多いですよね。どんどん人がシフトしているから、やっぱりYouTubeかなと。「お前、もっとテレビに出ろよ」と知り合いから言われることがありますが、そこに対して焦る気持ちはありません。自分のスタンスでこれからもやっていきます。
──素朴な質問ですが、広告映像やテレビCM出演は実入りがいいイメージがあります。そこを狙うことはないのでしょうか。