現在30代後半で活躍する女優には、ハイティーンだった2003年前後に注目され始めたケースが目立つ。たとえば長澤まさみはこの年、『ロボコン』で映画初主演を果たし、翌2004年公開の映画『世界の中心で、愛をさけぶ』ではヒロインを演じて一気にスターダムに躍り出た。この原作はベストセラーになっていた同名の小説で、同年にはドラマ化もされている。こちらはヒロインを綾瀬はるかが演じ、それまで活動の中心だったグラビアやバラエティから俳優へと移行する転機となった。
石原さとみと同世代…錚々たる女優たち
上戸彩もまた2003年に『あずみ』で映画初主演を果たしている。上戸はすでに2年前の『3年B組金八先生』第6シリーズで性別違和の生徒を演じて話題を呼んでいたが、この年、90年代の大ヒットドラマのリメイクである『高校教師』でヒロインを演じたのに続き、ドラマ初主演となる『ひと夏のパパへ』も放送された。
『高校教師』に出演していたなかには蒼井優もいた。蒼井はこの年、鈴木杏とともに主演した映画『花とアリス』のショートフィルム版がウェブで公開され、翌年に劇場公開されたその長編版とあわせて注目される。子役出身の宮﨑あおい(当時の表記は「宮崎」)も早くから映画での演技が評価されたが、2002年10月から半年間放送されたBS-i(現・BS-TBS)の『ケータイ刑事 銭形愛』でドラマに初主演した。
北川景子のデビューも2003年で、10月からスタートしたドラマ『美少女戦士セーラームーン』で火野レイ(セーラーマーズ)を演じた。言うまでもなく人気コミック・アニメの実写版で、主人公を2022年にお笑いコンビ・ティモンディの高岸宏行と結婚した沢井美優が演じたほか、現在モデル・女優として活動する泉里香(当時・浜千咲)なども戦士役で出演していた。
10代でデビュー「髪も眉もいじりたかった」
そして2003年にデビューした女優のなかでも、ひときわ華々しく登場したのが石原さとみである。この前年、15歳(高校1年)にしてホリプロタレントスカウトキャラバンでグランプリを受賞した石原は、そのまま東陽一監督の映画『わたしのグランパ』へのヒロイン役での出演が決まった。同作が2003年4月に公開されるのと前後して、NHKの単発ドラマ『窓を開けたら』で初主演したのに続き、初の連続ドラマとなる『きみはペット』(TBS系)では松本潤演じる主人公の元彼女を演じている。
若者がこぞって茶髪に細い眉にしていた時代、黒髪に太い眉の彼女は素朴でピュアな印象を与えた。当時のインタビューでは、《両親が厳しかったんですよ。自分では髪も眉もいじりたかったですけど。でもそのおかげで、グランプリを取れたのかなって(笑)》と語っている(『JUNON』2003年3月号)。