コンビ結成25年のテツandトモ。デビュー当初から目をかけてくれた恩師は、2011年に旅立った落語家・立川談志師匠(享年75)だ。もし、解散したくなったら「絶対に阻止する」と言われ、自信をなくしかけた時には、師匠の「やり続ければいい」という言葉に支えられた。

 厳しさの裏で愛情たっぷりだった談志師匠。テツとトモが今でも胸に留め、大切にしている師匠の“教え”を明かした。(全3回の3回目/#1#2を読む)

テツandトモの2人が凍りついた「立川談志師匠の一言」とは? ©文藝春秋

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――談志師匠との最初の出会いは、師匠が特別審査員を務めたNHK『爆笑オンエアバトル 第1回チャンピオン大会』(1999年)に出場し、準優勝した時でした。師匠の第一印象を覚えていますか?

トモ テレビで見た通りの「厳しい人」という印象しかなかったので、とにかく怖かったです。出演前、お手洗いでご一緒させていただいた時も緊張していて、話しかけてくださったのに何も覚えてない。

テツ 決勝戦で何を言われたかも……本当に覚えてないですね。

会場が凍りついた「お前らはもういい」発言の真意

――その後、2002年に『M-1グランプリ』出場。審査員の師匠からは「お前らここに出てくるやつらじゃないよ、もういいよ」と言われました。当時の心境や、その場の雰囲気はどうでしたか?

トモ 95点で「ここに出てくるやつらじゃねえ」と言われたら、褒め言葉かなと素直に思えるのですが、師匠の点数は70点(笑)。

 また、『オンバト』後は寄席に呼んでくださるなど関係性が少しできていたし、そこでは褒めてくださってもいたんです。だから、一瞬意味がわからなくなりましたね。

テツ 会場の人たちは僕たちが完全に突き放されたと思って、一瞬にしてシーンと凍りつきました。師匠もそれを感じたんでしょうね。すぐ「俺は褒めてるんだぜ」ってフォローしてくれたんですけど、僕たちはパニックになってるし、司会の西川きよし師匠も「師匠どうすんですか、こんな空気にしてしもて!」みたいな感じでオチをつけようとしていて。

「師匠の言葉にパニックになりました」 ©深野未季/文藝春秋

トモ 番組が終わってすぐ師匠の楽屋にご挨拶に行ったら、「伝えたかったこと、分かってるよな」って。「はい、ありがとうございます」「じゃあいいや」でおしまい。正直、全然わかんなかったんですけど(笑)。

――とりあえず、本気で「怒られた」わけではなかったと。