テツ 実は褒め言葉だったんです。その後も、舞台や寄席に呼んでいただいたり、飲みに連れて行っていただいたり。地方では、師匠の部屋で朝まで飲ませていただくこともありました。
トモ 悩んだ時は「やり続ければいい」と僕たちの自信に繋がる言葉をかけてくださるなど、とにかくお世話になりましたね。
テツandトモが凍りついた一言
――可愛がってもらう一方で、師匠から注意された、叱られたといったことはありましたか?
トモ 立川流の寄席へ、ゲストで呼んでくださった時のことです。僕たちは出番が終わった後、袖に残って、次の出演者を見ていたんです。暫くするとお弟子さんがいらして、「家元がお呼びです」と言う。何かと思って向かったら、「おいコノヤロー、人の舞台出て、挨拶もねえのか!」って雷を落とされました。
すぐに謝ったのですが「ふざけんじゃねえぞ! どういうつもりだバカヤロー!」「何考えてるんだ!!」って、怒りが収まらないんです。
テツ もう、2人とも涙をボロボロ流すほど泣いてしまって。
トモ 僕たちがすみませんでした、と涙を流した後、師匠は一転して「おい、わかったか?」と穏やかな口調でおっしゃいました。そして「今みたいなことを言うやつがいるかもしれないから、気をつけなさい」と。それでまた涙が……。
――2回も泣かされたんですね。
トモ そんなに泣くと思っていなかったから、オチをつけてくださったのかもしれません。あの頃、挨拶という基本的なこともできてなかったんです。弟子でもない私たちに礼儀やたくさんのことを教えてくださり、心から感謝の気持ちでいっぱいです。
そうだ、怒られたこと、もう一個思い出しました。2003年の紅白歌合戦、私たちは白組歌手枠で出演させてもらいました。その時に歌った「なんでだろう」の楽曲紹介のために、談志師匠がNHKホールに来てくださったんです。その出番直前に、しみじみ「お前太ったなあ」って。「突然売れ始めて、ぶくぶく太ることほどみっともないことはない!」と怒られました(笑)。
――実際太ってたんですか、昔に比べて。