1ページ目から読む
3/3ページ目
「“内引き”があった事をAmazonに報告してしまうと、今後仕事がもらえなくなる」
「ゲームソフトで言えば『ポケモンSV』や『ホグワーツ・レガシー』などが何本も出品されていて、定価で売っていたとしても、他の会社でも“内引き”していたのならお金はかかっていないので儲かることになります。
彼の入社前ではありますが、うちの配送会社でも両タイトルの発売時に40本以上の在庫が消失していて、未だに詳細不明の事案があります。ビッグタイトルの発売日には、かなりの数の配達員が動員されて、倉庫には在庫が豊富にあるので、誰が盗んだのかわからないうえに、 “内引き”があったことすらバレにくいのが現状です。しかも、いざ犯人を捕まえる事ができても、処分が甘いので再犯に繋がっているんです……」
Aさんは、「“内引き”があった事をAmazonに報告してしまうと、今後仕事がもらえなくなるので、会社は犯罪事実を隠している」と嘆く。さらに、「若者の間で一種の“闇バイト”として配達員が利用されているのでは」とも危惧した。
この配送業者に電話で問い合わせると、代表者と現場責任者に話が聞く事ができた。だが、代表者は「ゲームソフトの配送に問題は起きてないと聞いてます」と答え、現場責任者は「5月に退職した人物はいますが……」と言葉を濁すのみだった。
若者2人が、私利私欲のためだけに入社し、配達業界のモラルを侵した事件。あまりにも悪質な休暇を過ごした彼らを待ち受けていたのは“ゼルダ退職”だった。