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“首相官邸で自殺”25歳巡査が明かしていた悩み「拳銃を持ってトイレに行くと、引き金を引いてしまいそうで…」

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 首相官邸の1階にあるトイレの個室から、1発の乾いた銃声が鳴り響いたのは5月5日の午前4時40分頃のこと。トイレの床は瞬く間に赤く染まり、頭部から血を流して倒れた男性巡査の傍らには、回転式拳銃が転がっていた。

現場となった首相官邸

◆ ◆ ◆

「本当に真面目で実直な人でした」

 官邸の敷地内で拳銃自殺を図ったのは、警視庁第四機動隊に所属する黒川優太巡査(25)だった。

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「黒川巡査は静岡県内の高校を卒業後、2017年に警視庁に入庁。赤羽警察署で3年ほど過ごし、20年9月から機動隊員となりました」(警視庁担当記者)

 警視庁幹部が現場を巡視する際、ほとんどの隊員が「お疲れ様です!」と言いながら敬礼する中、黒川巡査だけは決まって、

「第四機動隊第四中隊黒川巡査、勤務中異常なし!」

 と、自らの所属部隊と名前、異常の有無を大きな声で申告していたという。

「しかも黒川さんは自分の直接の上司ではない部隊長に対しても、同じようにハキハキと大きな声で挨拶をする。要領はあまりよくない方でしたが、本当に真面目で実直な人でした」(機動隊関係者)

 そんな黒川巡査の身に一体何が起きていたのか。警視庁警備部の幹部が明かす。

「黒川巡査が自殺する1時間ほど前のこと。守衛所にいた小隊長のもとに、官邸の警護課から連絡が入ったのです。『警備中にも関わらず、携帯電話を使っている奴がいるぞ』と」

 指摘を受けた小隊長が“現場”に向かうと、本来その場を任されていた隊員の姿が見当たらず、別の配置についているはずの黒川巡査が立っていたという。