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バイト感覚ゆえの「やらかし」か

《アルバイトの職場で悪ふざけする動画をインターネットで公開し、炎上する「バイトテロ」。公邸で悪ふざけしていた翔太郎氏も、世襲が済むまでのバイト感覚だから、こんなことをしたのかもしれない。ただ、普通ならバイトテロの代償は解雇、損害賠償請求など非常に重いのだが。》(東京新聞5月27日「こちら特報部」デスクメモ)

 ここでも世襲というキーワードが。同じやらかしでも翔太郎氏とバイトテロとの格差が気になる。

 毎日新聞の専門編集委員・伊藤智永氏のコラムは『広島サミット再論』(5月27日)だった。

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《長男の首相秘書官が公邸で将来の「組閣ごっこ」に興じたのは、防衛大増税を閣議決定した1週間後。やはり広島ブランドで議員になる気だろう。》

©JMPA

「広島ブランド」を巧妙に利用?

 ここで注目したのは広島ブランドという言葉。文中で著者は「戦争を論じるように原爆は論じられない。原爆を戦争と同列に語るな」と語り、

《岸田文雄首相に「逃げるんですか」と広島開催の欺まんを問う記者がいた。首相も核抑止と廃絶を併記したご都合主義を自覚しているから振り返ったのに違いない。》

 読んでいてハッとした。

 広島サミットは成功して支持率も上昇というニュースもあったのだけれど、岸田首相はサミットを成功させるために広島ブランドを巧妙に使ったのでは? という行間も感じたからだ。

 確かに地元では被爆者などからサミットの「成果」に批判的な声も少なくなかった。地元の中国新聞は「(筆者注:核の)保有国や米国の傘の下にいる同盟国の立場を肯定し、忖度するような記述には目新しさもない」と、広島ビジョンの内容の物足りなさを指摘した(5月21日)。

 しかし、サミット終了直後から東京発の全国紙政治面では「支持率上昇で解散総選挙は早い?」という観測記事があふれ始めた。

 公私混同が問われる岸田政権だが、広島ブランドを使ったサミットこそが首相による最大の公私混同だったのだろうか?