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小平奈緒への賛辞が止まらない

 日韓ライバルの戦いで、韓国でも忘れられない名場面になっているのは、やはり、18日に行われたスピードスケート女子500mだ。

スピードスケート女子500mで金メダルに輝いた小平奈緒選手 ©JMPA

 今でも韓国では小平奈緒選手への賛辞が止まらない。

「なぜ韓国人も小平奈緒へ歓呼するのか」(メディアアス、2月20日)という記事も出るなど、ライバルで、銀メダルとなった李相花選手との抱擁シーンなどはテレビや新聞、インターネットで繰り返し流れている。なかでも、小平選手が競技後、唇に手をあて、観客に静かにしてほしいと頼んだ姿はさらなる感動を呼んでいる。

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 スポーツ韓国は、「小平奈緒が自分のレースが終わった後に『シィー』とした意味」と題された記事(2月19日)で「自分に向けて歓呼する日本の観客の声がその後すぐに競技が始まる李相花と他の選手にじゃまにならないようしたのだ。小平奈緒は試合後、李相花を『私の友』だと言い、涙する李相花を温かく慰め、尊重する発言などで話題を集めた。小平奈緒はオリンピックチャンピオンの品格を見せた」と伝えた。

「五輪サングラスに『いいね!』ポーズ……友情ショット残した李相花と小平」と見出しのついた記事(国民日報サイトより)

 ネットの書き込みを見ても、「小平奈緒選手は金メダルをとった歓喜を慎んで、李相花選手を抱いた。誰が1位なのか区別できないほどに」、「日本は本当に嫌いだけど、こういう人もいるのだなと思った。李選手より年上なのに、下から上ってきてあんなに努力して李選手を超えるまでになった。すごい努力と時間を使ったはず。それでいて、李選手を思いやって、自分が勝ってもまず祝ってあげる。今回の大会で誰もできなかった思いやり、選手としての人格、誠実さ、実力も兼ね備えた、すごい選手」と手放しで讃えるものばかり。

「韓国の選手にも、小平選手の相沢病院のような後援者がいたらどうだったろう」など、小平選手を無名時代から支援している相沢病院にも関心が注がれた。

「友から慰めてもらいたかったみたい」

レース後の名場面 ©JMPA

 小平選手との親交が注目された李選手は、2006年のトリノ冬季オリンピックでオリンピックデビューし、今回の平昌五輪では、バンクーバー(2010年)とソチ(2014年)に続く金メダル3連覇が期待されていた。

 競技が終わった後、李選手は堪えきれず、ぽろぽろと大粒の涙を流した。

 翌日、韓国メディアにこの時の心境を、「初めは『ああ、終わったなあ』といった思いがあった。これまでの圧迫感や負担感がすべて消えて泣けてきた」、「4年待った平昌まで来て結果は銀メダルです。感謝しなければいけない方々がたくさんいる。金メダルではなくて悔しいけれど銀メダルでも喜んでくれるとうれしい」(中央日報、2月20日)と話している。話題を集めた小平選手との抱擁については、「体が自然と(小平選手へ)向いた。熾烈なトップ争いをした友から慰めてもらいたかったみたいです。忘れられない瞬間になりました」(朝鮮日報、2月20日)と語っていた。

 今、思い出すだけでも胸が熱くなる名勝負。

 そして、日韓どちらが勝っても初のメダルが確定するカーリング女子の注目の一戦は、本日20時から行われる。