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猿之助から團子に、どれほどの芸が継承されるかは、團子の未来を大きく左右する。團子が少なくとも50年活躍すると考えると、今回の事件は歌舞伎の将来、およそ50年に影響を及ぼす事件だったといえる。
團子だけではない。猿之助はそのたぐいまれなるプロデュース力によって、若手役者の魅力を引き出してきた。
團子のみならず猿之助は期待の若手を次々と抜擢してきた
パッと思いつくだけでも、中村米吉、中村隼人、坂東巳之助、坂東新悟、尾上右近、中村玉太郎……。多くの若手が猿之助の一座で古典や「ワンピース」などの新しい作品でチャンスをもらい、それを生かしてきた。
特に隼人は、明治座で夜の部の代役を事件の夜から勤めただけでなく、これまでも「新版 オグリ」でダブルキャストを勤めるなどして実力を蓄えてきた。
つまり、猿之助の離脱は多くの若手のチャンスが少なくなることをも意味している。
だからこそ、私はいつの日になるかは分からないが、様々な手続きを経て、猿之助が歌舞伎に戻ってくることを期待してやまない。
歌舞伎の世界は、すでに6月の準備に入り、留まることを知らない。
團子は歌舞伎座で「傾城反魂香」で若き絵師、土佐修理之助を演じる。そして来年2月に新橋演舞場で予定されている「スーパー歌舞伎Ⅱ 鬼滅の刃」は、同世代で「弥次喜多」でも共演してきた市川染五郎と一緒に舞台に立つ。
團子の未来は、有望でもあり不透明でもある。
それは猿之助の未来とも交錯しており、様々な変数が絡み合う。
それでも、團子の持つポテンシャルが花開くことを願ってやまない。
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