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正しく磨けば歯磨きは1日1回でもいい…大学病院の歯科衛生士「患者の8割が陥る"歯磨きの大間違い"」

source : 提携メディア

genre : ライフ, ヘルス

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「歯周病菌は誰もが持っているので、これを完全に除去するというのはなかなか難しい。歯周病はどれか1つの要因というよりは、細菌因子(プラーク、歯周病菌)、宿主因子(年齢、性別、遺伝、全身疾患など)、環境因子(喫煙、ストレス、食生活など)が複雑に絡みあって発症します。

健全な歯でしっかり噛むことで認知症を予防

例えば、正しいブラッシングで、プラーク・菌の数を減らすことができます。年齢や性別は変えることができませんが、喫煙やストレスなど生活習慣に関わるものは改善の余地があります」

歯周病は、かかってから治療するのではなく、丁寧な歯磨きや定期的な歯科健診で予防することが大事なのだ。

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「どのような治療をしても、プラークコントロールができていなかったら、結局は元に戻ってしまいます」

健全な歯でしっかり噛むことによって、脳が刺激されて認知症が予防されるという研究もある。消化において内臓への負担を軽減することは言うまでもない。歯を失うと、全身の健康にさまざまな影響を及ぼす。

「何本失うかで変わってきますが、歯を全て失って総入れ歯になった場合、噛む力(咬合力)は、すべての歯がそろっている場合の4分の1にまで低下すると言われています」

しっかりと噛んで咀嚼すること、味わって美味しく食べること、楽しく笑って会話することなど、歯は「人生の楽しみ」「QOL(クオリティー オブ ライフ)」(生活の質)とも深く関わっている。

病気になりにくい状態を保つことで、元気に長生きして充実した人生を送るための第一歩は、歯を大切にすることなのだ。

歯ブラシを縦に持ち、毛先の端を意識

歯磨きは毎日しっかりしているし、自分はきちんと磨けているから大丈夫と安心している読者も多いだろう。「歯磨きをきちんとできていない人がほとんどです」と首を振るのは、とりだい病院歯科口腔外科の石見香穂歯科衛生士である。

「感覚として磨けた気がしていても、実はブラシの角度が全然合っていない人が多いんです。私が診ている患者さんだけでも、7、8割ぐらいは歯の裏側や歯の間が磨けていない」