「風邪を引いたらまず医者へ」はもう古い!? 国のセルフメディケーション政策で、おなじみの病院薬は次々に市販化、処方薬と市販薬の間の壁は融解しつつあります。

 薬剤師が解説する『その病気、市販薬で治せます』(新潮社)より一部抜粋して激変する市販薬の最新成分と効能を紹介します。(全2回の2回目/前編を読む)

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〈消臭〉「デオコおじさん」現象と“汗のにおいエチケット”

 夏になるとドラッグストアに山積みされるのが、汗拭きシートや制汗スプレーの数々。最近は「スメルハラスメント(スメハラ)」という言葉まで登場するほど、においのエチケットは日常生活に浸透しています。

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 汗のにおいは、汗が皮膚の常在菌によって分解されることで起きます。そこで、多くの汗対策商品には殺菌作用のある成分が含まれており、特に「薬用」と書かれた医薬部外品の商品には、汗対策に比較的効果の高い成分が入っています。近年大ヒットした医薬部外品は、「DEOCO(デオコ)」というボディーソープです。においの原因菌を殺菌するとともに、加齢で減少する女性特有の甘い匂いを補ってくれるというこの女性用ソープが、匂いを気にする男性にも好評を博しました。これは「デオコおじさん」現象と呼ばれ、しばらく商品の品薄状態が続くほどだったのです。

 ワキガは「腋臭症(えきしゅうしょう)」と呼ばれ、日本人の約10%が腋臭症と推定されています。生活習慣(食事やストレス)がにおいに影響すると考えられていますが、はっきりとしたことはわかっていません。汗が過剰に出る症状は「多汗症(たかんしょう)」と呼ばれ、特に原因のない原発性多汗症の有病率は世界各国で概ね数%とされています。また、部分的な多汗症(局所多汗症)に対しては、治療の第一段階として、汗の出口を塞ぐ【塩化アルミニウム】を塗ることが推奨されています。