【塩化アルミニウム】を使った商品は、市販でも入手することができます。各製品の配合濃度は記載されていませんが、塩化アルミニウムを使った一例としては医薬部外品の「テノール液」や「オドレミン」といった商品が、ワキガや汗臭に効果のあるものとして販売されています。また、制汗剤によく配合されている「ミョウバン」は【硫酸アルミニウムカリウム】のことで、これも汗が出るのを防ぐタイプの成分です。
汗の悩みに対しては、市販薬は得意分野とは言えません。強いて言えば、漢方薬を試すという方法もありますが、これは漢方に詳しい専門家の高いスキルが必要だと個人的には思います。汗を抑える漢方薬の一例には、ダイエット薬のところで紹介した防已黄耆湯があります。体の余分な水分を出すとともに、皮膚から漏れ出る汗を抑える効果があり、汗っかきや水太り体質の人の関節痛や肥満症に使われます。
口臭対策で大事なこと
続いて口臭の悩みですが、近年の厚労省の歯科調査によると、「自分には口臭がある」と感じている人は国民全体の約1割に上るそうです。テレビでは口臭を防ぐための食品や洗口液、歯磨き粉のコマーシャルが目につきますし、ドラッグストアの棚にも口臭予防の商品はたくさんあります。病院では口臭外来を設置するところも珍しくありません。
ところが、口臭は自分ではなかなか評価しにくいものであることは、あまり知られていないかもしれません。東京歯科大学千葉病院の口臭外来が2009年からの3年間で受診患者の背景を調べたところ、口臭を意識するようになったきっかけで一番多かったのは「他人から指摘された」ケースであり、2番目に多かったのは「相手の動作・仕草で気づいた」ケース。「自分で口臭に気づいた」ケースは3番目でした。
この調査ではさらに面白い結果が示されています。それは、相手の動作・仕草や自分で気づいたことで受診した患者の口臭レベルを科学的に測定したところ、なんと約半数が「口臭なし」だったのです。つまり、実際は口臭はほとんどないにもかかわらず、「自分の息は臭いのではないか」と思い込んでいるケースがあるということです。