「気のせい口臭」や「たまたま口臭」
口臭の原因は様々あり、ニンニクなどのにおいの強い食事や、女性であればホルモンバランスの変化によって一時的に口臭が強まることがありますが、たまたまその際に他人から指摘されたことで「自分の息は、いつもにおっているのかも(ガーン‼)」と誤解するケースがあるようです。というわけで、大前提として知っておくべきことは、口臭の中には「気のせい口臭」や「たまたま口臭」もあるということです。
とはいえ、口臭は避けたいものです。そこで市販薬の出番……と言いたいところですが、白状しますと口臭対策の薬は数種類しかありません。
ドラッグストアに置いてある代表的な口臭対策薬は、内服薬の「サクロフィール」です。パッケージに「のんで口臭を除去」と書いてある「サクロフィール」は、【銅クロロフィリンナトリウム】という葉緑素の成分でできた薬です。銅クロロフィリンナトリウムによる口臭予防効果は、日本では少なくとも1950年頃には明らかになっていたようで、銅クロロフィリンが口臭の主な原因とされる揮発性の硫黄化合物を抑えることが過去の複数の研究からわかっています。「サクロフィール」を飲むと、胃の中のにおい物質と直接反応して悪臭が弱まり、メーカーによるとその効果は2時間ほど続くと考えられています。
胃の中で作用する「サクロフィール」の弱点は、口の中のにおい物質は退治できないことです。後でお話しするように、口臭の原因は多くの場合口の中にあると考えられており、お菓子メーカーのロッテは、銅クロロフィリンを添加したチューイングガムで口臭を抑えた実験結果などを過去に論文発表しています。
「サクロフィール」は飲み薬なので、残念ながら口の中のにおい成分には反応しません。そこで「より効果的に使うには、口の中の口臭物質にも反応したほうがいいのではないか」と考えた私は、試しに舌の上に数秒間だけ乗せてから、水で飲み込んだことがあります。