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トラブルがあるとネタができて嬉しくなる

杉本 あと「忘れ得ぬ“忘れ物“事件」(第79回)というのがあって、あれは立て続けに2つ忘れ物をした話なんですが……。

中澤 私自身も何かに気を取られて財布や携帯などの貴重品を何度か忘れたことがあるので、共感できる部分がたくさんあって印象に残っている回です。ただ、いまだに気をつけていても忘れ物はよくしますね(笑)。

中澤沙耶女流二段
1996年愛知県一宮市出身。杉本昌隆八段門下。2015年に女流2級でプロデビュー。

杉本 最近、そういうトラブルがあると、嬉しくなることがあります。

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室田 ふふふ(笑)。

杉本 これはひとつ書けるぞって。今までだったら、ただただ落ち込むだけでしたが。

――それはエッセイを書いている効能ですね。

杉本 文章を書く方ならわかっていただけるのではないですかね。

原稿を書くようになっていろんなことに関心を持つように

――たとえばメモ帳を持つようになったとか、生活習慣が変わったことはありますか?

杉本 ちょっとしたことを書き留めたりするようになりましたね。あと家のリビングにボードを用意して、子どもたちには学校であったことなど、妻には買い物に行ったときに見た光景などネタになりそうなことを書いてもらっています。採用するとアイデア料を支払う仕組みです。

室田 すばらしい制度ですね。

室田伊緒女流二段
1989年愛知県春日井市出身。杉本昌隆八段門下。2005年に女流2級でプロデビュー。

――今まで、どれくらい採用されたんですか?

杉本 4つ、5つは採用しましたね。

――原稿はだいたい、夜に書くんですか?

杉本 そうですね。本格的に書くのは夕方から夜にかけてですね。自宅かこの研究室、あるいはノートパソコンを持っていくので、旅先や新幹線の中で書くこともよくあります。

――名古屋から東京に行く間に1本仕上がったりもしますか。

杉本 東京まではだいたい2時間ですが、ある程度書いたものを、推敲しながら書き上げることが多いですかね。書き上げるつもりで行っても、うまくいかなくて、東京駅で降りてから、待合室で書き上げたこともあります。

――週刊誌連載があると生活が変わりますね。