杉本昌隆八段の『師匠はつらいよ 藤井聡太のいる日常』(文藝春秋)刊行を記念した杉本一門による鼎談。
この中編では、杉本一門のことについて話を聞いた。なお杉本一門のメンバーは現在、棋士が2名(藤井聡太竜王・名人、斉藤裕也四段)と女流棋士が3名(室田伊緒女流二段、中澤沙耶女流二段、今井絢女流1級)。これに奨励会員が加わる。
月2回ほど定期的に集まって研究会を開催
――そもそも論なのですが、門下生というのは、奨励会に入っていない人も含まれるんですか。
杉本 含まないですね。プロ(棋士・女流棋士)になった弟子と奨励会に入っている弟子ですね。
――今、何人いらっしゃるんですか?
杉本 棋士が2人、女流棋士が3人、そして奨励会が8人だったかな……。
――室田さんは、正確な数をご存知ですか?
室田 増えたり減ったりするので。一度に4人増えたときがあって、そのときからわからなくなりましたが、今は(奨励会員は)8人ですかね。
杉本 となると、今はプロの5人と奨励会8人を合わせた13人になります。
――奨励会に属する門下生の活動というのは、主に研究会ですか。
杉本 研究会ですね。定期的にここに集まって。
――どれくらいの割合ですか。
杉本 月に2回くらいをノルマにしたいなと思っています。ただ学生は忙しく、土日にある奨励会の翌日も集まりは悪いので、多くて月に2回ですね。ただインターネットでやることがあって、今は深浦(康市九段)門下と対抗戦をやっています。
――そうなんですか。インターネット対抗戦を?
杉本 はい。
――とても興味深い対抗戦ですね。杉本門下生は、みなさん東海地域の方なんですか?
杉本 そうですね。過去に遡ってみてもそうですね。
――それは、そこにこだわっておられる?
杉本 そういうわけでもないですが、縁がないと取りにくいですから。そうなるとどうしても東海エリアの弟子が多くなるんですね。あと、定員があるわけではないですが、無制限に取るというわけにもいかないので、ある程度の人数に絞るとなると、そうなりますね。
室田伊緒女流二段、中澤沙耶女流二段とは小学生の頃からの付き合い
――では、いろんなご縁の一例として、室田さんと中澤さんから、どういった経緯で杉本一門に入られたのか教えていただけますか。
室田 私は、愛知県の春日井支部で将棋をやっていたんですけど、そこに杉本先生が年に1、2度、指導対局に来てくださっていて。そこで小さな頃から教えていただいていたので、プロになるときは師匠をお願いできたらなと思っていました。
――東海地域にいくつかの支部があるわけですか。
杉本 そうですね。当時、愛知県には現役棋士がほとんどいなかったんですよ。澤田(真吾)七段もいなければ、豊島(将之)九段もまだ子どもでしたし。なので、いろんな支部の師範をすることが多かったです。
――それは何年くらい前の話ですか?
室田 私が15歳のときなので、えっと20年弱くらい前ですか。
――2022年の6月から名古屋対局場ができましたが、現役棋士がひとりしかいなかった時代が長かったことから考えると、感慨深いですね。