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杉本 今でも多くはないですけどね。名古屋市在住は私と柵木幹太四段しかいませんし、愛知県在住としても、藤井竜王・名人を入れて3人しかいません。まだまだ少ないですけど、ああいった立派な対局場ができたのは嬉しいことですね。

――中澤さんはどういったご縁で杉本門下に?

中澤 小学生のときから、指導対局で教わった棋士の先生では、師匠がいちばん多かったのと、東海研修会の幹事をされていまして、そこでも何度か教えていただきました。将棋をいちばん近くで見てもらっていたので、お願いしました。

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杉本 中澤さんは、小牧市の大会によく出ていた女の子で、4年生くらいからよく二枚落ちで指していた記憶があります。

――ではみなさんお付き合いは長いんですね。

杉本 そうですね。二人とも小学生の頃から知っていますね。

穏やかな子が多い杉本一門

――師匠と弟子の関係は様々だと思うのですが、杉本門下というのは、どういう一門ですか?

室田 温かい家族のような一門ですね。師匠は怒らないお父さんです。私が入ったときは、私がいちばん下で兄弟子が3人いました。この4人しかいない時期が長く、最近になって増えていきましたね。ちなみに今は、ダントツ長女です(笑)。

――中澤さんはいかがですか?

中澤 同じですね。温かいです。師匠はほんとお父さんという感じで。

室田 でも、こういうことは師匠の前で初めて言ったかも。

中澤 ほんと(笑)。他の取材では言ったことはありますが。女流棋士の仕事についても師匠にはカバーしていただきました。

中澤沙耶女流二段
1996年愛知県一宮市出身。杉本昌隆八段門下。2015年に女流2級でプロデビュー。

――一門によっては厳しそうなところもありますか?

室田 傍から見ていると、そういう一門もあります。ただ杉本一門は穏やかな子が多く、やんちゃな子もそのうち落ち着いていいお兄ちゃんになりますね。弟子たちで喧嘩しているところも見たことがないです。

――一門の人数が増えたことで感じることはありますか。

室田 私が入ったときは、兄弟子によくしていただきました。私はダントツに弱かったのですが、優しく教えてくださり、また大阪で対局があれば、ご飯に連れて行ってもらったりもしました。

 だから私もそういったことを妹弟子、弟弟子にできたらいいなと思っています。ただ、向こうから声をかけてくれたら喜んでいくのですが、プロを目指している子にはどう声をかけたらいいのか気を遣うところはありますね。大阪の棋士室で会ったりしたら声をかけるようにしています。

20歳まではお年玉をあげている

――今は、三段リーグにもお弟子さんがおられて、これからも棋士も増えそうですね。

杉本 今、三段に宮田(大暉)というのがいます。また来期、村田(丞)というのが三段になりまして、もう一人入りそうですね(※その後、渋江朔矢二段が昇段して三段リーグ入りした)。弟子の活躍を見守りたいと思います。

――よくインタビューなどで、杉本一門の新年会の話をされています。新年会では、藤井竜王・名人もお年玉をもらっていたと聞きますが……。

室田 20歳までは、私もいただいていました(笑)。

杉本 20歳までの弟子は、みんなにあげていますね。最近は、新年の研究会のあとは、みんなで鍋などを食べたりしています。