男性から関係を求められると、どうにも拒めない。そんな女の子・有紗のもとには、弱みにつけ込む男性が続々と寄ってくる。でもバイト先の先輩だけは自分を大事にしてくれて、有紗はどんどん惹かれていく……。
美男美女だらけの「キラキラストーリー」じゃないのに、高い人気を誇る恋愛漫画がある。漫画家・ざくざくろの、『初恋、ざらり』だ。
漫画家自身のSNSで公開するとすぐに注目され、2021年には電子書籍化。この7月にはドラマ化されることとなった(ドラマ24【初恋、ざらり】テレビ東京系、第1回放送7月7日24時12分~)同作が、いま広く支持を集める理由はどこに? 漫画家当人に聞いた。
自分の心を24時間観察している
『初恋、ざらり』の主人公・有紗は、軽度の知的障害を持っており、大人になっても自分に自信が持てないまま。
「自分は『コレ』でしか役に立てない」と、男性の求めるがまま、体を許してしまっていた。
でも、新たに始めたバイト先の先輩・岡村さんは他とは違い、有紗に優しく接してくれた。ふたりは惹かれ合うのに、互いに踏み込みきれないまま恋の行方は不透明になっていく……というのがあらましだ。
なぜこうした設定が生まれてきたのか?
「私自身には発達障害があって、軽度の知的障害の友だちもいます。それって見た目じゃまったくわからないから、できないことがあるのを周りに理解してもらえなかったりして、苦労することも多いんですよ。そういう障害を抱えた女の子の恋愛を漫画にしたくて描きました。社会問題として訴えたい! というようなことでなくて、障害のある人もない人も生きていればいろいろあるよね、と言いたかっただけなんですけどね」
漫画ではあまりなじみのないテーマを扱っているにもかかわらず、公開以来多くの読者を得た要因は、どこにあったのだろう。