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中野、木浪、小幡…阪神タイガースの二遊間が“アライバ”を超える日

文春野球コラム ペナントレース2023

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中野&木浪、中野&小幡の二遊間コンビが“アライバ超え”を果たす日は来るのだろうか?

 そしてアライバにはなんといっても“コンビネーション”の印象が強い。

 広島の菊池涼介選手や、西武の松井稼頭央選手など、スーパープレーを連発する二塁手や遊撃手は過去にも現在にも沢山いたが、アライバは個々がスーパープレーをする二遊間というより、コンビとしてのプレーが最大の特徴で、例えば荒木選手が二遊間寄りのゴロを捕り、すぐさまバックトスする。そして、それを捕った井端選手が代わりに一塁へ送球する――これは、アライバの代名詞的なプレーである。

 故にこの2009年のアライバの併殺参加数は211。昨年の阪神は182だ。

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 この差は少ないようで意外と大きく試合を左右する数字のように思う。と言うのも、アライバはよくタイムリーヒットの当たりをダブルプレーにしていたからだ。

 たとえば、ワンアウト満塁から打者がセンター方向に弾き返す。普通の二遊間なら2点タイムリーヒット。それを荒木選手がダイビングキャッチしてグラブトス。井端選手が捕球し一切無駄の無い動きで一塁に送球。間一髪アウト、スリーアウトチェンジ。

 2点を防ぐどころか、抜けていれば一気にビッグイニングの可能性も十分にある。この併殺数はそうして防いだ失点が何十点もある事を意味する。

 阪神の二遊間が取ったアウトの数が少ないのは、二塁手が固定出来ていなかったことにも原因があったと思う。

 岡田監督は解説の際もよく「そら二遊間はある程度固定せなあかんよ。おーん」と発言されていた。自身が二塁手だったこともあり、コンビネーションの大切さを理解されていたのだろう。人によってどこに投げて欲しいか、どっちに体が流れる癖があるか個人差があり、その些細なズレが併殺を取りこぼす。故に固定した方が良い。という考えである。

 実際に2023年はほとんどの試合を二塁に中野拓夢選手、遊撃に木浪聖也選手で戦っている。勿体無い併殺の取りこぼしも記憶に無い。

 本拠地が土のグラウンドなので少しずつエラーは増えているが、中野選手のコンバートも含めて二遊間の守備は大改善されている気がする。そんなプレーぶりを見ると、何年後かにアライバを“超える”とまではいかずとも、匹敵する二遊間となるのも夢ではないと思えてしまう。

 加えて、中野選手には盗塁王を獲れる機動力があり、木浪選手には将来的に首位打者争いも可能ではと期待させるバットコントロールがある。

 そしてこの2人、今年は出塁率も大幅にアップしている。さらに木浪さんと遊撃争いをしている小幡竜平さんには、おそらく井端選手を超えるであろう肩がある。まだ若くて伸びシロもある。

 アライバを守備力だけで超えるのは至難の業かもしれないが、打撃や走塁も含めた総合力でなら、いつか阪神の二遊間がアライバと勝負出来る日が来るのではないだろうか。

 そしてさらに……。

 個人的に中野選手と木浪選手はNPB屈指のベビーフェイスでもあると思う。

 そこら辺も加味した“総合力”でぜひアライバと勝負したい所存である。

◆ ◆ ◆

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