田上 いわゆる女芸人枠みたいな感じで見られていたのはあるかもしれないですね。お客さん的には審査用のボールを1個あげようかな、みたいなのもちょっとあったとは思います。
――当時は女性芸人も少なかったですよね。
田上 ほとんどいなかったですね。いても、そんなオンエアになってくれないというか。でも、私はそこまで女としてやっていた感じがなくて、男女関係なく普通の芸人として戦っていたので、非常にしんどかったですね。だって、今はゴールデンタイムで司会とかしているような人たちと戦ってたんですよ。死にそうでしたもん。
――それはきつかったですか?
田上 まわりがお笑いモンスターだらけでしたからね。昔はほかにネタ番組がなかったから、『オンバト』に全国から集まってきちゃって。非常にしんどかったです。
――そこで堂々と渡り合っていたのがすごいですね。
田上 いやいや、がんばったんですよ。(養成所の入学金)60万円も払ったから元を取らないと、と思って。
「私は人間がペラいから、スベるのが怖い」
――田上さんは小ネタを連発してすき間なく笑わせるような芸風だったから、そういうのも有利だったんですかね。
田上 ボケの数が多いというのは強いかもしれないですね。なんでそうなるかというと、私は人間がペラい(薄っぺらい)から、スベるのが怖いんですよ。
――スベるのはみんな怖いんじゃないんですか?
田上 どうですかね。ドシッとしてる人はボケ数が少ないんじゃないかな。「俺はこういうキャラだぜ、見ろ」みたいな。私は一瞬でも笑い声がないのが怖いので、ブワーッてしゃべり続けて。
――間が怖いんですね。
田上 そう、間が怖い。文化祭でネタをやったときに、ボケ数をマネージャーが計っていたことがあって、8秒に1回笑いがあるって言われました。それぐらいの勢いでしたね。
――その頃はネタをどんどん作らないといけないし、結構忙しかったんじゃないですか?
田上 そうですね、月の半分、15日ぐらいはライブに出てました。それでネタを磨き上げて『オンバト』に持っていく、みたいな。
「オンバトの地方収録は、ホテルがものすごく豪華」
――『オンバト』は地方収録もあったから忙しそうですね。
田上 地方もありましたね。昔は制作費があったんでしょうね、ホテルがものすごく豪華だったんですよ。「なんだこの広さ」みたいな部屋で。良い時代に出られて良かったです。
――地方に行ってご馳走を食べたり、遊んだりしたことはありましたか?
田上 私、食に関してはそんなに興味がないんですよね。お酒も飲まないし、ホストにも行かないし。そういう武勇伝みたいなのを言いたいんですけど、何もないんですよね。一緒に行ってた男芸人が、街中でナンパとかしているのはすげえ見てましたけど。(#2に続く)
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