田上 違和感しかないですよ。とりあえず通ってみてくれ、と言われて。入学金が60万だったので、そんなの払えるかと思っていましたけど。
でも、入る前に何回か通っていたら、そこに毎回校長がいらっしゃっていて、やたらと仕事を振ってくれるんですよ。エキストラとか、オーディションの仕事とか。そういうのをいくつか振られているうちに、やべえな、もう辞めるって言えねえなと思って、しょうがないから入ることにしたんです。
「今の時代、シニカルなネタは難しい」
――最初はどうやってネタを考えていたんですか?
田上 お芝居が好きだったので、コントが良いなと思ってコントにしました。私の場合は、教師とかバーテンダーとか、普通の設定で人物がいて、そこに小ネタを差し込んでいく、という作り方をしていました。芸能人をイジるような小ネタを量産しておいて、それをパズルみたいにぶち込んでいく感じでした。うまくハマったらドカンとウケる、みたいな。
――たしかに、田上さんのネタでは芸能人イジりが多かった気がします。そういうのがもともと好きだったんでしょうか?
田上 そうですね、芸能人というかテレビの世界が好きだったので、そこに関してはあんまり苦労はしなかったですね。
――あと、少し古い時代の芸能ネタとか、昔の流行語とかもよく出てきた印象があります。
田上 ギリギリわかるかなぐらいのところをチョイスしてました。そのあたりをイジるのが好きでしたね。ただ、昔はみんなもそういうのが大好物だったので喜んでくれたんですけど、今の時代は難しいです。
――今はやりにくいですか?
田上 シニカルな笑いはもう通用しなくなってきていますね。今って、ちょっとしたことでも芸人がガンガン叩かれるじゃないですか。本当にやりづらいと思いますよ。特に私なんて、当時のネタを今やったら大炎上になるのは確実。というか、みんなの目に届く前にカットされるでしょうね。
――田上さんは、当時の若手芸人の登竜門だった『爆笑オンエアバトル』(NHK)に出るのも早かったですよね。
田上 そうですね、2年目ですね。
――初出場のときから連続でオンエアされていて、成績も良かったイメージがあります。
田上 いま考えても良い番組でした。見ず知らずの誰やねんという若者に5分間まるまるネタをやらせてくれるって、民放じゃありえないことなんですよね。あの番組にはすごく感謝ですね。あれがなかったら「芸人・田上よしえ」はいないです。民放のオーディションは落ちまくりでしたから。
――そんな田上さんが『オンバト』で強かったのはなぜなんでしょうか?