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 約4年間にもわたる保護観察期間の最終日、元少年は「今度遊びに来させてもらいます」と言ったが、絶対に来ないだろうと中澤さんは心の中で思っていた。それどころか、別れた後につい「ああ、終わったー!」と大きな独り言が漏れたほどだった。

 その彼が、中澤さんが出演したテレビ番組を見て、約18年ぶりに電話をしてきたのだった。そしてカフェへ遊びに来た。2人は2時間以上、じっくり語り合ったという。

「『中澤さん、まだこんなことやってるんですか』って彼が言うの。『うん、役に立ってるかわからないけどね』と私が答えたら、『役に立ってると思いますよ』って。偏屈な子だったのに、年月が経ってそんなことを言ってくれて、涙が出るわ、鳥肌は立つわ。すごくうれしかったですね」

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YouTubeチャンネルを開設後、コラボの依頼が相次ぐ

 2022年8月には、YouTubeチャンネル「華麗なる更生族」を立ち上げた。保護司として関わってきた人のなかには、カフェLaLaLaに行きたくても行けない人や、中澤さんがお店を始めたことを知らない人もいる。動画で中澤さんの今を発信することが、エールとなって届いたり、再びつながりが生まれたりすれば、という思いがきっかけだ。

中澤さんのカレーを通じて笑顔が広がっていく

クラウドファンディングでレトルトカレーをつくるプロジェクトに挑戦

 コンテンツの多くは更生保護関連。出演を快諾してくれたかつての対象者と和やかにトークをする回があれば、1週間後に収監される元対象者をゲストに招いたこともある。更生保護のリアルが垣間見えるドキュメンタリーとなっている。

 更生保護の世界で有名な中澤さんだけに、コラボの依頼も相次いだ。あのカジサックをはじめ、歌手・小林幸子さんやジャーナリスト・丸山ゴンザレス氏など、登録者数10万~200万人超のYouTubeチャンネルとコラボした。丸山氏のチャンネルへの出演後は、かつての対象者から連絡があったという。